微醉ほろゑひ)” の例文
新字:微酔
くちびるてたのが、錦繪にしきゑいたがけの美人びじんにそつくりで、微醉ほろゑひのそれしやが、くろもじをんだより婀娜あだツぽい。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
裏口の戸を閉め切つて、納家のむしろの上で、京子に知れぬやうに、お駒の酌で酒を飮んでゐた道臣は、腰の邊に藁屑の附いたまゝ、微醉ほろゑひで病室に入つて來て、何も知らずに
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うした田舍の夜路を、何の思ふことあるでもなく、微醉ほろゑひの足の亂れるでもなく、しつとりとした空氣を胸深く吸つて、ブラリ/\と辿る心地は、渠が長く/\忘れてゐた事であつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
さゝゆきまへ通返とほりかへして、微醉ほろゑひ心持こゝろもち八杯はちはいはらつもつたさゝゆきも、さつけて、むねいさゝかのとゞこほりもない。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
微醉ほろゑひの父は、かう叫んで、持ち合はした杯をした。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ふたはらへば、昏惘こんまうとして令史れいしあり。つま微醉ほろゑひおもて妖艷無比えうえんむひ令史れいしさらおどろかず、そんなものはお打棄うつちやりよと。令史れいし突出つきだし、大勢おほぜい一所いつしよに、あはゝ、おほゝ、とさら空中くうちう昇去のぼりさりぬ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)