御輦みくるま)” の例文
「呉をたのみましょう。陛下の御輦みくるまを守って、呉へはしり、他日の再起を図らんには、またいつか蜀都に還幸の日が来るにちがいありませぬ」
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぢゃによって、こひかみ御輦みくるま翼輕はねがるはとき、かぜのやうにはやいキューピッドにもふたつのはねがある。あれ、もう太陽たいやうは、今日けふ旅路たびぢたうげまでもとゞいてゐる。
ああ御輦みくるまめぐる
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「このままでは、味方の気勢にかかわる」といって、調ととのえた御輦みくるまを、からのまますすめて、松明たいまつをともし、暗い道を鹿ししたにの集まりへと急いで行った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐ計略はかりごとをめぐらして、兵乱の中から上皇と天皇の御輦みくるまを自分のほうへお迎えし奉って、その上で戦を開始した。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この上は、ただ帝みずから、御輦みくるまを渭水へすすめ、以て、三軍の士気をふるわせ給うしかありますまい。ただ幾人もの大将をお代えあっても、それはいよいよ敵を
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下って足利氏あしかがしが世を暴奪ぼうだつなし終った乱麻らんまの時代となってはしのび上げるも畏れ多いことながら、後村上天皇は、男山御脱出以来、軍馬の間を彼方此方あちこち御輦みくるま漂泊さすらいを経られて
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
帝と皇后の御輦みくるまは、李暹りせんのために、李司馬の軍営へと、しゃ二、曳きこまれて来たが、そこへお置きするのはさすがに不安なので李傕りかく、李暹の叔父甥は、相談のうえ、以前
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「李司馬の甥が、天子を御輦みくるまにのせて、どこかへ誘拐かどわかして行きます」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)