御人おひと)” の例文
嫁入よめいつて丁度てうど半年はんとしばかりのあいだせきせきやとしたへもかぬやうにしてくださつたけれど、あの出來できてからとものまる御人おひとかはりまして、おもしてもおそろしう御座ござります
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
気前が面白ければ銭遣ぜにづかいが荒く、凝性こりしょうなれば悟過ぎ、優しければ遠慮が深し、この方ならばと思うような御人おひとは弱々しくて、さて難の無い御方というのは、見当らないのでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一 建てた御人おひとは御手とから、むかしひたのたくみの立てた寺なり
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
然し、それが旦那様の御人おひといいという証拠で、御天性おうまれつき普通なみの人とは違ったところでしょう。一体、寒い国の殿方には遅鈍ぐずぐずした無精な癖があるものですけれど、旦那様にはそれがありません。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何時いつかははふとぞんじたれど、おまへさまといふ御人おひとにはあきれまする、れがいつつやとを子供こどもではなし、十六といへばお子樣こさまもつひともありますぞや、まあかんがへて御覽ごらんなされお母樣はヽさまがお病沒なくなりからこのかた
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一 なげくさを如何いかな御人おひと御出おいであつた、出た御人は心ありがたい
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)