役宅やくたく)” の例文
駕籠の先へ推立おしたて長棒ながぼうの駕籠にろく尺八人侍ひ六人跡箱あとばこ二ツ引馬一疋長柄草履取合羽等にて數寄屋橋内町奉行の役宅やくたくへ來り門前にて駕籠を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さて、……町奉行まちぶぎょう白洲しらすを立てて驚いた。召捕めしとつた屑屋を送るには、槍、鉄砲で列をなしたが、奉行役宅やくたく突放つっぱなすとひきがえるほどの働きもない男だ。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
天満橋筋てんまばしすぢ長柄町ながらまちを東につて、かどから二軒目の南側で、所謂いはゆる四軒屋敷の中に、東組与力大塩格之助おほしほかくのすけ役宅やくたくがある。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
さすがに役目の手前、奉行所へ送らずに自分の役宅やくたくから逃げられたでは申譯が立ちません。
江戸南町奉行えどみなみまちぶぎょう大岡越前守おおおかえちぜんのかみ忠相である。外桜田そとさくらだのお役宅やくたく、書院作りの奥の一間だった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
大親分もいけれども、奉行ぶぎやうや代官を相手にして談判をした末、向ふが承知せぬのを、此奴こやつめといふので生捕りにして、役宅やくたくを焚き、分捕りをしてかへつたといふのでは、余り強過ぎる。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
いだし夫より南町奉行大岡殿の役宅やくたくうつたへ出私し儀は元雲切仁左衞門と申是々これ/\の惡事ありと白状はくじやうに及びたり依て大岡殿かれが勇氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
手配てくばりが済んで、坂本は役宅やくたくに帰つた。そして火事装束くわじしやうぞく草鞋掛わらぢがけで、十文目筒じふもんめづゝを持つて土橋どばしへ出向いた。蒲生がまふと同心三十人とは揃つてゐた。本多はまだ来てゐない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「あたしね、南のお奉行様のお役宅やくたくへ行くんですの。とおしてくださいな」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
呼出よびいだしに相成しかば村役人ども并に三五郎妻おふみもろともに江戸表大岡殿御役宅やくたくまかり出しむねとゞけしによりやがて越前守殿の白洲へ呼入よびいれられ三五郎つまお文を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それは跡部と自分とが与力朝岡の役宅やくたくに休息してゐる所へおそつてようと云ふのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
桜田門外さくらだもんがいの、江戸南町奉行大岡越前守忠相おおおかえちぜんのかみただすけのお役宅やくたくだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)