ちょう)” の例文
かれは、懐中かいちゅうから、スケッチちょうして、前方ぜんぽう黄色きいろくなった田圃たんぼや、灰色はいいろにかすんだはやし景色けしきなどを写生しゃせいしにかかったのであります。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ピアノよ、キュピーよ、クレヨンね、スケッチちょうね、きりぬきに、手袋に、リボンに……ねえかあさん、おうちなんかくださらないの」
クリスマスの贈物 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
かつて某処において見た書画ちょうによって想察するに福島柳圃ふくしまりゅうほ、渡辺小華しょうか奥原晴湖おくはらせいこ安田老山やすだろうざん、鷲津毅堂の五人ではないかと思われる。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
昔の日本画家の例えば光琳こうりん宗達そうたつなどのあの、空想的な素晴らしい絵画の背後に、彼の自然からの忠実な、綿密な写生ちょうがどれだけ多く存在したか
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
正旦鶏を門にえがき、七日人を帳にちょうす、今一日鶏を殺さず、二日狗を殺さず、三日は羊、四日は猪、五日は牛、六日は馬を殺さず、七日刑を行わず(人を殺さず)またこの義なり云々。
代助は花瓶かへいの右手にある組み重ねの書棚の前へ行って、上に載せた重い写真ちょうを取り上げて、立ちながら、金の留金を外して、一枚二枚と繰り始めたが、中頃まで来てぴたりと手を留めた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おれの写生ちょうがないんだ、この机の上へ置いた筈なんだが」
おれの女房 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
数年前、或る書画商の店に書画ちょうの売物があった。
年雄としおは、小山先生こやませんせいだったら、びつきたいのでした。スケッチちょう懐中かいちゅうれると、おかりました。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先ず、一枚の風景画を作ろうとします、第一に必要なるは、早速モティフとして適当な場所を探しに出なくてはなりません、これは鉛筆のクレイオンとスケッチちょうと位いあればいいでしょう。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)