尚武しょうぶ)” の例文
それはある不思議な梅の木を保護するために掲げられた掲示であって、尚武しょうぶ時代のすごいおかしみをもってわれらの心に訴える。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
しかも藩主大膳亮が刀剣を狂愛するくらいだから、よしや雪月花を解する風流にはとぼしいといえども気風として烈々尚武しょうぶの町であった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
わが官僚武断主義の政府しばしば庶民に愛国尚武しょうぶの急務を説けり。尚武は可なり。彼らのいはゆる愛国なるものの意義に至つては余輩はなはだこれを知るに苦しむ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
二百何十年の泰平に慣れた諸藩の武士が尚武しょうぶの気性のすでに失われていることを眼前に暴露して見せるのも
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
日本にっぽんもうくに古来こらい尚武しょうぶ気性きしょうんだお国柄くにがらであるめ、武芸ぶげい偵察ていさつ戦争いくさ駈引等かけひきとうにすぐれた、つまり男性的だんせいてき天狗てんぐさんはほとんど全部ぜんぶこのくにあつまってしま
学校教育の風も文弱に流れずして尚武しょうぶの気を奨励するこそ大切なれとて、その針路に向うときは、さきに工芸商法を講習してまさに殖産の道を学ばんとしたる学生も
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それにはしばしば菖蒲模様しょうぶもようを見かけますが、それは言葉が尚武しょうぶに通じるからであります。これを一般に「菖蒲革しょうぶがわ」と呼びますが、模様として既に古典的なものといえましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
徳川様ご入府時代の世の中、寛永尚武しょうぶの世の中、元禄の淫逸いんいつ、田沼の作った悪政と賄賂わいろの世の中、また、文化文政の全盛も世の中なら、天保てんぽう飢饉ききんも、ある間の世の中じゃった
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「日本は東洋の君子国ですよ。そうして人間は利口ですよ。尚武しょうぶの気象に富んでいます」
国の本は民にありとは、封建社会において、一般に通用する格言なりき。封建政治は尚武しょうぶけいとし、重農じゅうのうとしたり。封建君主の典型たる上杉鷹山うえすぎようざんかつてその相続者にげて曰く
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
かれは自分が修業を励むかたわら、なかまの足軽たちにも少しずつ手解てほどきをしてやり、望みのある者は特に願って横井道場へ入門させるなど、尚武しょうぶの風を興すことに力を尽してきたのであった。
足軽奉公 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
尚武しょうぶ思想
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「大きに、ああいう尚武しょうぶのふうはぜひのこしておきたい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)