小鍋立こなべだて)” の例文
に直行も気味好からぬ声とは思へり。小鍋立こなべだてせる火鉢ひばちかど猪口ちよくき、あかして来よとをんなに命じて、玄関に出でけるが、づ戸の内より
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
卯平うへいうして仕事しごとをしてたりたり、それから自分じぶん小鍋立こなべだてをするかとおもへば家族かぞくにんともぜんむかつたり、そばから勘次かんじにはれぬぢいさんであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
小鍋立こなべだてというと洒落に見えるが、何、無精たらしい雇婆やといばあさんの突掛つッかけの膳で、安ものの中皿に、ねぎ菎蒻こんにゃくばかりが、うずたかく、狩野派末法の山水を見せると、かたわらに竹の皮の突張つッぱった
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と納所部屋から段々庫裏くりから本堂の方へ来ると、本堂のうしろ一寸ちょっとした小座敷がございます、此処こゝにお梅と二人で差向い、畜生めという四つ足の置火燵おきごたつで、ちん/\鴨だかあひるだか小鍋立こなべだての楽しみ酒
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小鍋立こなべだてで手酌でくびり/\と酒を呑んで居ります。