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こがいまき
ふりがな文庫
“
小掻巻
(
こがいまき
)” の例文
旧字:
小掻卷
それのみか私はこの美くしい裲襠がその
後
(
ご
)
小掻巻
(
こがいまき
)
に仕立直されて、その頃宅にできた病人の上に載せられたのを見たくらいだから。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その暗い処に母とお末とが離れ合つて
孑然
(
ぽつねん
)
と坐つて居た。戸棚の側には哲が
小掻巻
(
こがいまき
)
にくるまつて、小さな
鼾
(
いびき
)
をかいて居た。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
床を前に
置炬燵
(
おきごたつ
)
にあたっているのが房さんで、こっちからは、
黒天鵞絨
(
くろビロウド
)
の襟のかかっている八丈の
小掻巻
(
こがいまき
)
をひっかけた後姿が見えるばかりである。
老年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
足巻
(
あしまき
)
と名づける針金に似た黒い
蚯蚓
(
みみず
)
が多いから、
心持
(
こころもち
)
が悪くつて、
故
(
わざ
)
と外を枕にして、並んで寝たが、
最
(
も
)
う夏の初めなり、私には清らかに
小掻巻
(
こがいまき
)
。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
かりそめに敷いた
蒲団
(
ふとん
)
の上、箱枕と
小掻巻
(
こがいまき
)
だけの
転
(
うた
)
た
寝
(
ね
)
の姿のまま、主人の白石屋半兵衛は死んでいたのです。
銭形平次捕物控:089 百四十四夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
(そのとき茶席へ通ずる猿戸が閉るのを彼は見た)ゆきをはそこに
小掻巻
(
こがいまき
)
を掛け、箱枕をして横になっていたが、その部屋は女の躰臭と香料との濃厚な匂いで、
噎
(
む
)
せるように感じられた。
薊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自分料理で斯う早く出来る訳もないし、何うした事かと女の廻り気で
種々
(
いろ/\
)
と考えて居りまする、其の
中
(
うち
)
灯火
(
あかり
)
がつきますと、長治が屏風を立廻し、山風で寒いからと
小掻巻
(
こがいまき
)
に
夜着
(
よぎ
)
を持運び
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
枕を出して、そのつむりにあてがい、自分の
小掻巻
(
こがいまき
)
をふわりとかけてやります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
間
(
ま
)
を置き、女郎花、清らかなる
小掻巻
(
こがいまき
)
を持ち出で、
静
(
しずか
)
に夫人の
背
(
せな
)
に置き、手をつかえて、のち去る。——
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お蔦は恥じてか、見て
欲
(
ほし
)
かったか、肩を
捻
(
ひね
)
って、
髷
(
まげ
)
を真向きに、毛筋も透通るような
頸
(
うなじ
)
を向けて、なだらかに掛けた
小掻巻
(
こがいまき
)
の膝の
辺
(
あたり
)
に、一波打つと、力を入れたらしく寝返りした。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、ちと薄ら寒いくらいだから——って……敷くのを二枚と
小掻巻
(
こがいまき
)
。どれも
藍縞
(
あいじま
)
の
郡内絹
(
ぐんないぎぬ
)
、もちろんお綾さん、と言いました、
少
(
わか
)
い人の夜のもの……そのかわり蚊帳は差上げません。——
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
掻
漢検準1級
部首:⼿
11画
巻
常用漢字
小6
部首:⼰
9画
“小掻”で始まる語句
小掻卷
小掻捲
小掻