射出いだ)” の例文
さつと、吹添ふきそ蒼水あをみづかぜれて、ながれうへへそれたのは、はなをどしよろひ冥界めいかい軍兵ぐんぴやうが、ツと射出いだまぼろしぶやうで、かはなかばで、しろえる。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その瞬間燕返つばめがえしに、見も知りもせぬ路傍の人に与えるような、冷刻な驕慢きょうまんな光をそのひとみから射出いだしたので、木部の微笑は哀れにも枝を離れた枯れ葉のように
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
どこから射出いだしたのか、一本の白羽しらはの矢が湖心の忍剣をねらって、ヒュッと飛んでいったのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもその車には機関銃式郵便物射出器しゃしゅつきというのがついているのです。引金をグッと引けば、往来に居ながら、遥か向うの戸口まで、郵便物が射出いだされて飛んでゆくのです。
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
そんな考が不意に射出いだした征矢そやのように、鶴見の頭脳のなかを一瞬の間に飛び過ぎた。
身方みかた射出いだしたをせっせとひろっては、こちらへはこかえしてました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
するといつどこから出てたか、おおきなひげのえたおとこと、かわいらしい小さなぼうさんが出てて、どんどんあめのように射出いだてきの中をくぐりくぐり、平気へいきかおをしててきせいの中へあるいて行って
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)