あだか)” の例文
あだかも人のうなるような……いやうなるのだ。誰か同じくあしを負って、もしくは腹に弾丸たまって、置去おきざり憂目うきめを見ている奴が其処らにるのではあるまいか。
不必要ふひつえう勿論もちろん左樣さやう』と王樣わうさま口早くちばやつて、ほも低聲こゞゑ獨語ひとりごとまをされました、『不必要ふひつえう——不必要ふひつえう——不必要ふひつえう——不必要ふひつえう——』とあだかことばもつと發音はつおんされるかを試驗しけんするやうに。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それには一寸ちょっと相手に困る。人の恋をするのを傍観するのは、あだかも人が天麩羅てんぷらを喰ってるのを観て其味を想像するようなものではあるけれど、実験の出来ぬうちは傍観して満足するよりほか仕方がない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
對立してあだかも戰場の觀あり。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)