官女かんじょ)” の例文
更に眼を定めてよく見ると内裏様だいりさまもあれば、官女かんじょもあり、五人囃子ばやしもあり、衛士えじもあり、小町姫もあり、また雛道具としては箪笥たんす、両替、膳、鏡台、ボンボリ、屏風びょうぶ
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
読む時間のない時は、そっと自分のへやへ持って来て、残らず眼を通した。私の眼は長い間、軍服を着た乃木大将と、それから官女かんじょみたような服装なりをしたその夫人の姿を忘れる事ができなかった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ台所で音のする、煎豆いりまめに小鼻をいからせ、牡丹ぼたん有平糖あるへいとうねらう事、毒のある胡蝶こちょうに似たりで、立姿たちすがた官女かんじょささげた長柄ながえを抜いてはしかられる、お囃子はやし侍烏帽子さむらいえぼうしをコツンと突いて、また叱られる。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひな——女夫雛めおとびなは言うもさらなり。桜雛さくらびな柳雛やなぎびな花菜はななの雛、桃の花雛はなびな、白とと、ゆかりの色の菫雛すみれびなひなには、つくし、鼓草たんぽぽの雛。相合傘あいあいがさ春雨雛はるさめびな小波ささなみ軽くそで浅妻船あさづまぶね調しらべの雛。五人囃子ごにんばやし官女かんじょたち。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)