姫路ひめじ)” の例文
今日こんにち入船にゅうせんは大和の筒井順慶つついじゅんけい和泉いずみ中村孫兵次なかむらまごへいじ茨木いばらき中川藤兵衛なかがわとうべえ、そのほか姫路ひめじからも外濠そとぼりの大石が入港はいってまいりますはずで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仙台せんだい姫路ひめじ竜山りゅうざん各師団よりなる極東軍主力は、国境附近の労農軍を撃破し、本日四時を以てニコリスクを去る十五キロの地点にまで進出せり。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
播磨国はりまのくに飾東郡しきとうごおり姫路ひめじの城主酒井雅楽頭忠実うたのかみただみつ上邸かみやしきは、江戸城の大手向左角にあった。そこの金部屋かねべやには、いつもさむらいが二人ずつ泊ることになっていた。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこで鶴江殿は産れ故郷の播州ばんしゅう姫路ひめじに立帰り、そのまま縁付いたのが本多家の御家来小笠原兵右衛門ひょうえもん
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
丁度「金唐革きんからかわ」が姫路ひめじの産となったのと同じであります。他にない革細工でありますし、質もよくまた美しさもゆたかでありますから、永く仕事が続くことを望んでみません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
されば、気高いと申しても、天人神女てんにんしんにょおもかげではのうて、姫路ひめじのお天守てんしゅはかまで燈台の下に何やら書をひもどく、それ露がしたたるように婀娜あでなと言うて、水道の水で洗い髪ではござらぬ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
姫山は今日こんにち姫路ひめじである。ここが姫路と呼び換えられたのは豊臣時代からのことで、南北朝時代には姫山と呼ばれていた。播磨路——姫山——それを聞かされて、小坂部は少しく驚かされた。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
夢であったら諸君にあいすまぬが、まず能うかぎり簡略に述べておいてみよう。私の生まれ故郷は中部播磨はりま姫路ひめじから四里ほどの上流で、わずかな岡の南の緩傾斜面に、古くひらかれた農村であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一、酒井雅楽頭さかいうたのかみ様、(播州ばんしゅう姫路ひめじ藩主)深川ふかがわ一円。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
京ばかりではない、姫路ひめじ下向げこうすれば姫路の町が秀吉になり、安土あづちへゆけば安土の町がそッくり秀吉の気性きしょうをうつす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姫路ひめじもまた同じように、一つの技で聞えます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「冬も暖かいし、内海の魚もある。しばらくは、姫路ひめじがよかろう」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)