大聖寺だいしょうじ)” の例文
「見やがれ、つらいろが変りやがった。うぬはなんだろう、大聖寺だいしょうじの前田の家来か九谷の陶器作すえものつくりのせがれだろう。うまくましていやがるな」
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒い外套を来た湯女ゆなが、総湯の前で、殺された、刺された風説うわさは、山中、片山津、粟津、大聖寺だいしょうじまで、電車で人とともに飛んでたちまち響いた。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
石川県の西のはずれ、福井県との境近くに大聖寺だいしょうじという町がある。其処そこ錦城きんじょうという小学校があって、その学校で私は六年間の小学校生活をえた。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
加賀大聖寺だいしょうじの雑誌『虫籠』第三巻第二号出づ。裏画「初午はつうま」は道三の筆なる由実にうまい者なり。ただ蕪村の句の書き様はやや位置の不調子を免れざるか。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
永「うーんなんじゃ、わし大聖寺だいしょうじの者じゃ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
加賀大聖寺だいしょうじの城主、拝郷はいごう五左衛門家嘉いえよし、石川郡松任まっとうの城主徳山五兵衛則秀のりひで、ふたりとも、柴田譜代ふだいの重臣だし、勝家が股肱ここうの老職たちだった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは富山とやまき、高岡に買われ、はた大聖寺だいしょうじ福井に行き、遠くは故郷の新潟に興行し、身をいとわず八方にかせまわりて、幸いにいずくもはずさざりければ
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この渓流の下流の所に、山代やましろという温泉と大聖寺だいしょうじという人口一万ばかりの町がある。この二つが古い九谷焼の面影の幾分残っている産地なのである。私の故郷はこのすぐ近くである。
九谷焼 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
能美のみ江沼えぬま檜屋ひや大聖寺だいしょうじの諸郡に、それぞれ守備をおき、まず将来への基点としておいて、自身はきたしょうへ陣を移した。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
加賀大聖寺だいしょうじに一城を有し、智謀もあり武勇の聞えもあった老将であるから、玄蕃允をたすけて、中入りの奇略をまっとうさせた側近といえば、まずこの辺の人物と見てまちがいあるまい。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大聖寺だいしょうじの鐘が鳴る。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)