大笑おおわらい)” の例文
『こいつは大笑おおわらいだ。もう九時だろうは宜かったね。何うだい? 美代子。矢っ張り哲学者というものは時間と空間に超越しているだろう』
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
トウトウ思い切ってこうした心事を、山内さんの前で露骨に白状したら、山内さんあのビリケン頭に汗を掻いて大笑おおわらいしたよ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
れはまぬ事だと思い、あだかも一念こゝに発起ほっきしたように断然酒をめた。スルト塾中のおお評判ではない大笑おおわらい
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
鍋焼饂飩うどん江戸児えどっこでない、多くは信州の山男と聞く。……鹿児島の猛者もさが羅宇の嵌替すげかえは無い図でない。しかも着ていたのが巡査の古服、——家鳴やなり震動大笑おおわらい
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
顔の色も最早もう真蒼まっさおになっていたので、二人ながら大笑おおわらいしながら、それからは無事に家に帰ったが、如何いかにも、このうちというのは不思議な所で、のちに近所で聞いてみると、怪物ばけもの屋敷という評判で
怪物屋敷 (新字新仮名) / 柳川春葉(著)
ははあ、これは遣られたと、肥った腹から大笑おおわらいり出して、爺さんは訳もなく座敷をかえ、階下したで今、旦那、御新造様なぞと一座で飲んでいるという、その後でしょう。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
桜にちゅうの字の徽章きしょうの着いた学校の生徒が三人づれで、向うからき違って、一件を見ると声を揃えて、(やあ、西岡先生。)と大笑おおわらいをして行き過ぎたが、何のこった知らんと
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(何さ、行ってみさっしゃいご亭主ていしゅは無事じゃ、いやなかなかわしが手には口説くどき落されなんだ、ははははは。)と意味もないことを大笑おおわらいして、親仁おやじうまやの方へてくてくと行った。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これが、その晴やかな大笑おおわらいの笑声に驚いたように立留って、ひさしにらみに、女を見ている。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
腹蔵ふくぞうなく大笑おおわらいをするので、桂木は気を取直とりなおして、そっづ其のたもとの端に手を触れた。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)