大功たいこう)” の例文
今でも帆村荘六は、あの“東京要塞”と僭称せんしょうしていた某大国の秘密砲台の位置発見に大功たいこうをたてた自記地震計のドラムを硝子ガラス張りの箱に入れて、自慢そうに持っている。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
燈火ともしびもと書物しよもつらき、ひざいだきてせ、これは何時何時いつ/\むか何處どこくにに、甚樣じんさまのやうなつよひとありて、其時代そのときみかどそむきしぞくち、大功たいこうをなして此畫このゑ引上ひきあげところ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼が持ち逃げせる金の内には大功たいこう細瑾さいきんを顧みずちょう豪語をたてとなせる神奈川県の志士が、郡役所の徴税をかすめんとして失敗し、更に財産家に押し入りて大義のためにその良心をあざむきつつ
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
あるさ、おれはおまえを見こんで、その大功たいこうをあらわす仕事をひきうけてきたんだ。おまえというものを、石見守いわみのかみさまにみとめさせようと思ってな。どうだ、どうだ蛾次、奮発ふんぱつして一つやってみるか。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
助け大功たいこう有し段神妙しんべうなり依て今より十人扶持ふち下され足輕あしがる小頭こがしら申付るなりと家老中より三人へ執達しつたつに及びければお花友次郎は云に及ばず忠八まで君恩くんおんかたじけなきに感涙かんるゐ止め敢ず何れも重々ぢう/\有難ありがたき段御うけ申上て引退しりぞき夫より友次郎は改めて松田の養子となり養家やうか名跡めいせき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)