売品ばいひん)” の例文
雑誌もすで売品ばいひんつた以上いじやうは、売捌うりさばき都合つがふなにやで店らしい者が無ければならぬ、そこ酷算段ひどさんだんをして一軒いつけんりて、二階にかい編輯室へんしうしつ、下を応接所おうせつしよけん売捌場うりさばきぢやうてゝ
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「へ、ご念にゃ及ばねえ。数々の売品ばいひん持って参ってそうろうだ、寒くていけねえ早く開けてくんな」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
裸体はだかの車夫が引ける武者絵の人力車に相乗あひのりせる裸体人はだかびと、青物市場いちばなどに見る如き土間に売品ばいひんを並べたる商家よ、中形ちゆうがた湯帷巾ゆかたを着たる天草をんなよ、あなさがな、悪きは数へさふらふまじ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
事件のあった日のあかつき、彼は自家じか売品ばいひんたるフィルムを一本と現像液を準備して、それに店にあった小形撮影機を一台と、パンや蜜柑みかんなどの食料品、束髪の西洋鬘せいようかつらなどを一緒に風呂敷に包み
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
芸妓げいぎはお世辞せじ売品ばいひんとし、彼方此方あなたこなたに振りまき、やさしいことをいうて、その報酬ほうしゅうにポチをもらおうとするが、彼らはあからさまにこれをその職業に表していることゆえ、さらに驚くに足りません。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)