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壁板
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しとみ
すると、あの
家の
壁板に、
去年いなくなった、わたしの
妹の
着物に
似たのがかかっていましたので、ついぼんやりと
思案に
暮れていたのでございます。
そして、
壁板のところをながめますと、
美しいちょうの
翼が、
大きなくもの
巣にかかっていたのでありました。
門のすきまからのぞくと、
家のほかに
土蔵もあったけれど、ところどころ
壁板がはずれて、
修繕するでもなく、
竹林の
下には、
枯れ
葉がうずたかくなって、
掃くものもないとみえました。
旅人は、また、「
妹の
着物に、よく
似た
着物が
壁板にかかっていた——その
妹は、
去年行方がわからなくなった——。」といった
女の
言葉を、いぶかしく
思わずにはいられませんでした。
彼は、
朝起きると、
入り
口に、
大きな
白い
羽の、
汚れてねずみ
色になった、いままでにこんな
大きな
鳥を
見たこともない、
鳥の
死んだのが、
壁板にかかっているのを
見てびっくりしました。