堪兼たまりか)” の例文
一時餘いつときあまりちぬれどもでよとはのたまはず、はただしたまふべき樣子やうすもなし。彼者かのもの堪兼たまりかねて、「最早もはや御出おだくださるべし、御慈悲ごじひさふらふ」とたてまつる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
到頭堪兼たまりかねて、足の勇にチョッカイを出したのは、それから又五日目でした。
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
やみの中で警部補が堪兼たまりかねたように叫んだ。
白妖 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
堪兼たまりかねて、火箸ひばしつて、ヤツとあたまつたのがしたれて、さきあたつたのが、ひだりした
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
に入りて四辺あたりしづかになるにつれ、お村が悲喚ひくわんの声えて眠りがたきに、旗野の主人も堪兼たまりかね、「あら煩悩うるさし、いで息の根を止めむず」と藪の中に走入はしりいり、半死半生の婦人をんな引出ひきいだせば
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)