)” の例文
本堂の横の拾石に腰をおろすと、後ろからいて來た人は、そつと平次の側に立つて、くびうなれて何やら切つかけを待つて居る樣子。
この前にも夜天神を散歩している時、お増は浮いた調子で磯野に歌をうたって聞かせたり、暗いところをしなれかかるようにして歩いていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
根曲り竹も、楊の根も、樅の肌も、はた長くしなれるサルオガセも、その柔嫩じゅうなんの手に、一旦は、撫でられぬものはない。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
朧月おぼろづきけている。——夜はまだ明けず、雲も地上も、どことなく薄明るかった。庭前を見れば、海棠かいどうは夜露をふくみ、茶蘼やまぶき夜靄よもやにうなれている。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日間ひるま通る時、彼はつねに赭くうなれた昨宵ゆうべの花の死骸を見た。学校の帰りが晩くなると、彼は薄暗い墓場の石塔や土饅頭の蔭から黄色い眼をあいて彼をのぞく花を見た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そういう変な光線のなかで、彼はふと彼の枕もとに誰かがうなれているらしいのに気づいた。
恢復期 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
それともじぶんと同じように一人で退屈しているから散歩に来て遊んでいるのだろうか、しかし、あんなにうなれて考え込んでいるところを見ると何か事情があるかも判らない
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
たすきの縁をはなれず、井戸端に米やかしぐらん、勝手元に菜切庖丁や握るらん、さるを卑賤さもしき營業なりはひより昇りて、あの髭どのを少さき手の内に丸め奧方とさへ成り澄ませば
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うなれて細い声で礼を云いました。
梅子はうなれつ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
しなれかかる四十男の醜さ、お富はゾッと寒気がして、父親の背後に逃げ込みました。
清左衞門はうなれました。よくも斯うぬけ/\辯解が出來ると思ふよりも、驕慢けうまんで才子肌で、人に頭などを下げた事のない丹之丞が、よく/\折れたのが氣の毒でもあつたのです。
お霜の寢息をうかゞつて、夜半に半次の中間部屋に忍び込み、しなれかゝるやうな恰好で、後ろから手を前へ廻し、デレデレして居る半次の胸、心の臟を突いた——奧方をやつた時と同じ手口だ
平次はガックリと首をうなれます。
平次はガツクリと首をうなれます。
源左衛門は首をうなれました。
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)