“咳嗄(しわが)” の例文
『若(も)し、人(ひと)各々(おの/\)その仕事(しごと)に專念(せんねん)なる時(とき)は』と公爵夫人(こうしやくふじん)は咳嗄(しわが)れた銅鑼聲(どらごゑ)で云(い)つて、『世界(せかい)は常(つね)よりも迅(すみや)かに回轉(くわいてん)します』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
女は恐ろしさに麻痺(まひ)したようになっている。その咽(のど)からは自分にもほとんど聞えない位な、咳嗄(しわが)れた叫び声が出た。顳顬(こめかみ)と頬(ほお)とをしっかり抑えられていて、頭を動かす事が出来ない。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
漁村の書を講ずる声は咳嗄(しわが)れているのに、竹逕は音吐(おんと)晴朗で、しかも能弁であった。後年に至って島田篁村の如きも、講壇に立つときは、人をして竹逕の口吻(こうふん)態度を学んでいはせぬかと疑わしめた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
乃(そこ)で愛(あい)ちやんは恰度(ちやうど)お稽古(けいこ)の時(とき)のやうに前掛(まへかけ)の上(うへ)へ兩手(りやうて)を組(く)んで、それを復習(ふくしう)し初(はじ)めました、が其聲(そのこゑ)は咳嗄(しわが)れて變(へん)に聞(きこ)え、其一語々々(そのいちご/\)も平常(いつも)と同(おな)じではありませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)