吹風ふくかぜ)” の例文
大小に羽織袴の侍も小紋の夏羽織の町人も本家枇杷葉湯びわようとうの荷箱また団扇うちわの荷をかつぐ物売の商人も、皆だいなる菅笠に顔をかくし吹風ふくかぜはげしくもその裾を打払はれいささか行悩める如き有様を見せたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
待つ身につらき夜半よは置炬燵おきごたつ、それは恋ぞかし、吹風ふくかぜすずしき夏の夕ぐれ、ひるの暑さを風呂に流して、身じまいの姿見、母親が手づからそそけ髪つくろひて、我が子ながら美くしきを立ちて見
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
吹風ふくかぜの目にこそ見えぬ神々はこの天地あめつちにかむづまります
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
あだなりしわがともか、吹風ふくかぜ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
につらき夜半よは置炬燵おきごたつ、それはこひぞかし、吹風ふくかぜすゞしきなつゆふぐれ、ひるのあつさを風呂ふろながして、じまいの姿見すがたみ母親はゝおやづからそゝけがみつくろひて、ながらうつくしきをちて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あだなりしわが世の友か、吹風ふくかぜ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)