向後きょうこう)” の例文
最前から聞いて居れば手前は余程よっぽど付け上ってるな、此の町人はいわれなく切るのではない、余り無礼だにって向後きょうこういましめの為切捨きりすてるのだ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ハッと気が付いて、「しまった。向後きょうこう気をつけます、御免なさいまし」と叩頭おじぎしたが、それから「片鐙かたあぶみの金八」という渾名あだなを付けられたということである。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
武「これを遣わすから、早う帰って親御に孝行を致せ、したが女子おなごの身の夜中やちゅうと云い、いかなる災難に遇わんとも限らんから向後きょうこう袖乞はめに致すがよい」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
相手が上手うわてだったからかなわない、一応は降参して、向後きょうこう然様さようなところへはまいりませぬと謝罪して済んだが、そこには又あやしきは男女の縁で、焼木杭やけぼっくいは火の着くことはや
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
向後きょうこう稼業かぎょうを構うと云われては困ります、何も銭金をお貰い申しに参った訳ではありませんから、当期此方の台所だいどこの隅へ置いて下さい、五年掛るか十年掛るか知れませんが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
向後きょうこう悪事はいたさぬと改心をしたが、肝腎の金庫かねぐらが無くなって見ると、玄石殆んど路頭に迷う始末だから、已むを得ず幸いに天網てんもうのがれてる貴公達へ、御頼談ごらいだんに及んだのさ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
取返とりけえして、子供に着物の一枚いちめえも着せてえと思って、ツイ追目おいめに掛ったんだが、向後きょうこうもうふッつり賭博ばくちはしねえで、仕事を精出すから、何処どこへか往ってお久をめっけて来てくんナ
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
汝の身の代だけは一旦借金のかたせえ付けてしまえば、己がまたどんなにでもはたれえて、汝の処はんとかするが、うしてくれゝば己へのい意見だから、向後きょうこうふっつりもう賭博ばくちのばの字も断って
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
國「おっかねえ、死んでも忘れません、向後きょうこう悪事はふッつりと」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)