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めいさく
東京に
出てから、
自分は
畫を
思ひつゝも
畫を
自ら
書かなくなり、たゞ
都會の
大家の
名作を
見て、
僅に
自分の
畫心を
滿足さして
居たのである。
是は
怪しからん、
無礼至極の
奴だ、
何と
心得て
居る、
是ほどの
名作の詩を、詩になつて
居らんとは
案外の
何うも
失敬な事を
申す
奴だ、
其分には
捨置かん、
入牢申附ける。
と
老爺が
叫ぶ、……
其なるは、
黄金の
鯱の
頭に
似た、
一個青面の
獅子の
頭、
活けるが
如き
木彫の
名作。
櫓を
圧して、のつしとあり。
角も、
牙も、
双六谷の
黒雲の
中に
見た、
其であつた。……