吃度きつと)” の例文
ほんとにおぶうならかへりに吃度きつとよつておれよ、うそきだからなにふかれやしないと店先みせさきつて馴染なじみらしきつツかけ下駄げたをとこをとらへて小言こゞとをいふやうなものひぶり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ママ本さんは平生ふだんきたない風をして居つて顔付も恐ろしい様な人だつたが、此間は顔も奇麗に肥え大変立派になつて入らつしやつた、吃度きつと死花が咲いたのでせう、間もなく没くなられたと云ひました
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
火事かじところもありいくさところもあり、ぼく大變たいへんきなれば、姉樣ねえさま御覽ごらんにならば吃度きつときならん、大姉樣おほねえさま上野うへののも淺草あさくさのも方々はう/″\のを幾度いくどしに、中姉樣ちうねえさま一度いちどれてかぬは意地いぢわるではきか
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)