取立とりたて)” の例文
まへ講釈かうしやくのと読較よみくらべると、按摩あんまのちさむらひ取立とりたてられたとはなしより、此天狗このてんぐ化物ばけものらしいはうが、かへつて事実じゝつえるのが面白おもしろい。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
講武所取立とりたての折、兵学の講義をうけ持ち、御留守番まで進んだが、もう身を退いて、閑役となっている。年配は六十二、三。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
取立とりたて金子十兩こしらへて與へければ大いに悦び茂兵衞も倶々とも/″\れいを云て悦びけり然るに三郎兵衞は四郎右衞門を盜賊におところさんとせしに皆々に止められしがなほ所々しよ/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
変心の暁はこれが口をききて必ず取立とりたてらるべしと汚き小判こばんかせに約束をかためけると、或書あるしょに見えしが、これ烏賊いかの墨で文字書き、かめ尿いばりを印肉に仕懸しかくるなどたくいだすよりすたれて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
相勤候處夫より段々だん/\取立とりたてられ用人に相成候後先代せんだいよりの古老こらうたる山口惣右衞門にながいとまを申付られ候然れどもいまだ先代よりの用人ようにんすけ十郎郷右衞門と申者御座候を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これ新規しんき取立とりたてに相成わづかに家名存せしは大岡殿の仁智じんちに因る所なり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)