南風なんぷう)” の例文
土手どてしのたかさにえる蜀黍もろこし南風なんぷうけて、さしげたごとかたちをなしてはさきからさきへとうごいて、さかのぼ白帆しらほしづかに上流じやうりうすゝめてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
すると二月の末の或夜、学校の英吉利イギリス語講演会をやつと切り上げた保吉は生暖なまあたたか南風なんぷうに吹かれながら、格別買ひ物をする気もなしにふとこの店の前を通りかかつた。
あばばばば (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
空模様はにわかに変って、南風なんぷうに追われる暗雲の低く空を行き過る時、大粒の雨はつぶてを打つように降りそそいではたちまむ。夜を徹して小息おやみもなく降りつづくこともあった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
海の方から吹いて来た南風なんぷうは、窓の所へ来て言いました。
(新字新仮名) / 竹久夢二(著)
あさひかゞや大日本帝國だいにつぽんていこく軍艦旗ぐんかんき翩飜へんぽん南風なんぷうひるがへつてつた。
また南風なんぷうと煽り拍つ渺々の海*イカリオス、 145
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
ああ南風なんぷうよ、南風なんぷう
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
きそ南風なんぷう
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)