きき)” の例文
いや、むしろ直截ちょくせつに云いましょう。だいたい装飾灯シャンデリヤが再び点いた時に、左ききであるべき貴方が何故、キューを右に提琴ヴァイオリンを左に持っていたのですか
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
拙妻は左手のみ蝮指だから、亭主まさりの左ききじゃなかろうかと案じたが、実は一滴もいただけませんから安心しやした。
変心の暁はこれが口をききて必ず取立とりたてらるべしと汚き小判こばんかせに約束をかためけると、或書あるしょに見えしが、これ烏賊いかの墨で文字書き、かめ尿いばりを印肉に仕懸しかくるなどたくいだすよりすたれて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この燃草もえぐさききが可かった。ぱっと煙が、むらむらと立つ狼煙のろしを合図に、二階から降りる気勢けはい
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは、うめき声が起ると同時に杜絶えましたが……、しかしその音は、旗太郎さんが左ききで、セレナ夫人が右ききである限り、キューいとが、斜めに擦れ合って起ったものに相違ないのですよ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)