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りこう
ふりがな文庫
“
利巧
(
りこう
)” の例文
それに
利巧
(
りこう
)
だから外へは出さないけれども、あれでなかなか
慢気
(
まんき
)
が多いのよ。だからそんなものを
皆
(
み
)
んな取っちまわなくっちゃ……
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あいつも
猾
(
ずる
)
いがあっしも
利巧
(
りこう
)
じゃあねえ、かたちからするとこっちが乗り出した恰好で、あいつの云い草じゃねえが、まったくなっちゃあいません」
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
綺麗
(
きれい
)
かときかれても、
判
(
わか
)
らない、と答えるだろう。
利巧
(
りこう
)
かいといわれても、どうだか、としか返事できないだろう。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「そうだ、これなら
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
。ねえ
猿
(
さる
)
さん、お前は
猿智慧
(
さるぢえ
)
といって、たいそう
利巧
(
りこう
)
だそうだが、
案外
(
あんがい
)
馬鹿
(
ばか
)
だなあ。今私が
大蛇
(
おろち
)
を
退治
(
たいじ
)
てあげるから、見ていなさいよ」
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「いいえ、だからそう言ったじゃないの。なんとも思ってやしないわよ、って。いいのよ、あたしは
利巧
(
りこう
)
なんですから。ただね、時々は、でえじにしてくんな。」
おさん
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
などと世話をやくのを、
利巧
(
りこう
)
ぶっても老人ふうになってしまったこの女は、自分が死んでしまえばどこへ行くであろうと、そんなことも想像して浮舟は悲しかった。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そして自ら真ッ先にそれに服従することによって、同じ服従を万民に強要するのである。これは
利巧
(
りこう
)
な方法であった。そして、この原形を発案したのは中大兄皇子であった。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
と畑君は
利巧
(
りこう
)
だから本気にしない。しかし誰が社長に信用があるかということについては常に私を権威者として消息を聞きたがったものだ。ところが昨今はもう
悉皆
(
すっかり
)
いけない。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「どうせ君は零点にきまっている。はじめからゆっくりあるいて行く方が
利巧
(
りこう
)
だよ。」
青年の思索のために
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
章介 ああ、
利巧
(
りこう
)
なようでも女は女だ。共にアジアの形勢を論ずるには足らんな。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
「どうです。私ははじめから兄さんは
利巧
(
りこう
)
で、ほんとに金なんかくれることはないといったじゃありませんか。どうです。これは兄さんがお前さんを殺そうとしていることじゃないの。」
珊瑚
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「あなたに似て
利巧
(
りこう
)
だといいわねえ。」
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「じゃ
利巧
(
りこう
)
か?」
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
過去の不可思議を解くために、自分の思い通りのものを未来に要求して、今の自由を
放
(
ほう
)
り出そうとするお前は、馬鹿かな
利巧
(
りこう
)
かな
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
躯
(
からだ
)
つきは小さいが、
利巧
(
りこう
)
で、たいへんな暴れん坊だった。その点は父の織部よりも、隼人の幼時に似ているらしい、知人からよく昔の隼人にそっくりだと云われた。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あの宮様は騒がしいくらい御多情な方でね、
利巧
(
りこう
)
な若い女房は御奉仕がいたしにくいそうですよ。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
悩乱
(
のうらん
)
のうちにまだ
一分
(
いちぶん
)
の
商量
(
しょうりょう
)
を余した
利巧
(
りこう
)
な彼女は、夫のかけた鎌を
外
(
はず
)
さずに、すぐ向うへかけ返した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
源氏は相手の身柄を尊敬している心から
利巧
(
りこう
)
ぶりを見せる
洒落気
(
しゃれぎ
)
の多い女よりも、気の抜けたほどおおようなこんな人のほうが感じがよいと思っていたが、襖子の向こうで
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ただ
上
(
うわ
)
っつらな感情で達者な手紙を書いたり、こちらの言うことに理解を持っているような
利巧
(
りこう
)
らしい人はずいぶんあるでしょうが、しかもそこを長所として取ろうとすれば
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
辞表の事はいざとなるまでそのままにしておいても
差支
(
さしつか
)
えあるまいとの話だったから、山嵐の云う通りにした。どうも山嵐の方がおれよりも
利巧
(
りこう
)
らしいから万事山嵐の忠告に従う事にした。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今まで婦人がただけのお
住居
(
すまい
)
であって、規律のくずれていたのを引き締めて、少数の侍を巧みに使い不都合のないようにしているのも、皆一人の大和守が
利巧
(
りこう
)
な男だからである。
源氏物語:40 夕霧二
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
静かな性質を少し添えてやりたいとちょっとそんな気がした。才走ったところはあるらしい。碁が終わって
駄目石
(
だめいし
)
を入れる時など、いかにも
利巧
(
りこう
)
に見えて、そして
蓮葉
(
はすっぱ
)
に騒ぐのである。
源氏物語:03 空蝉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
良人
(
おっと
)
の不名誉になると思っては、遠慮して来客にも近づきませんし、とにかく賢妻にできていましたから、
同棲
(
どうせい
)
しているうちに
利巧
(
りこう
)
さに心が引かれてもいきましたが、ただ一つの
嫉妬
(
しっと
)
癖
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
微笑しながら言っている様子で、
利巧
(
りこう
)
な惟光はすべてを察してしまった。
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
随身は
利巧
(
りこう
)
者であったから、つれて来ている小侍に
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
利
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
巧
常用漢字
中学
部首:⼯
5画
“利巧”で始まる語句
利巧者
利巧相