分外ぶんぐわい)” の例文
二人が会合すれば、いつも尊王攘夷の事を談じて慷慨かうがいし、所謂いはゆる万機一新の朝廷の措置に、やゝもすれば因循の形迹けいせきあらはれ、外国人が分外ぶんぐわいの尊敬を受けるのをあきたらぬことに思つた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
自分が東京に居て台所に働く事をあたかも書斎に働くと等しく楽しい事にして居たのは、これ分外ぶんぐわいの時間を費さず、適当な時間をもつて簡潔に処理する習慣を養つたからであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
いはゞわし福人ふくじん一人ひとり、いづれも柔順おとなしい子供こどもつてそだてるにかゝらずひとにはめられる、分外ぶんぐわいよくさへかわかねば此上このうへのぞみもなし、やれ/\有難ありがたことものがたられる、あの相手あいてさだめし母樣はゝさん
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)