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刀痕
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とうこん
ふりがな文庫
“
刀痕
(
とうこん
)” の例文
資本主義も社会主義も有りはしない、そんなことは昼寝の夢に彫刻をした
刀痕
(
とうこん
)
を談ずるような
埒
(
らち
)
も無いことで、何も彼も
滅茶
(
めちゃ
)
滅茶だった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
武蔵は、脚と腕の
刀痕
(
とうこん
)
よりも、その言葉に、ずきんと胸の
傷
(
いた
)
むような顔をした。まして、そう問うこのお小僧の年頃も十三、四。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仕上げの時には、木目に従って削って木目の自然に添って
刀痕
(
とうこん
)
が揃ってゆくという風にするのだが、本仕上げになると、刀痕もなくなって了う位に細かに削る。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
老人の髪は銀のように白く、額には斜めに
刀痕
(
とうこん
)
があった、……上品な眉と
唇許
(
くちもと
)
が、その刀痕と共に老人の身分を語っているように思われた。彼はよく眠っていた。
春いくたび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ぱっちりした眼が、若松屋惣七の
額部
(
ひたい
)
を凝視していた。
眉
(
まゆ
)
のあいだの
刀痕
(
とうこん
)
をめざして、両方から迫りつつある若松屋惣七の眉毛が、だんだん危険なものに見えてきていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
それが片手に水の滴たる手桶を提げて、片手に鰻掻きの長柄を杖に突いていた。破戒無残なる堕落坊主。併し其眉毛は濃く太く、眼光は鋭く、額には三ヶ月形の
刀痕
(
とうこん
)
さえ有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
そして彼が左手
利
(
き
)
きであることも、種々な場合の
刀痕
(
とうこん
)
を総括して、動かぬところと専門家の間に断定されていた。被害者は、夜の
巷
(
ちまた
)
をさまよう売春婦にかぎられているのである。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼の四世の祖が打ち込んだ
刀痕
(
とうこん
)
は歴然と残っている。ウィリアムは又読み続ける。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
刀痕
(
とうこん
)
のうちには痛烈なる散文の精髄を交じえなければならない。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
もうすっかりよくなったつもりでも、土を踏んで歩いてみると、左の脚の
刀痕
(
とうこん
)
がまだ
傷
(
いた
)
む。腕にうけた
傷痕
(
きずあと
)
にも、山風が
滲
(
し
)
み入るここちがする。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
刀痕
(
とうこん
)
の深い左膳の
蒼顔
(
そうがん
)
、はや生き血の香をかぐもののごとく、ニッと白い歯を見せた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
例の銀の
鯰
(
なまず
)
の
兜
(
かぶと
)
に矢の
痕
(
あと
)
が二ツ、鎗の柄には
刀痕
(
とうこん
)
が五ヶ処あったという。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
実は
其許
(
そこもと
)
のために、門人ふたりが
矢矧
(
やはぎ
)
の橋もとで、斬られたと聞いた時、てまえも駈けつけて、その死骸を見たのであったが——二つの死骸の位置と、二人のうけた
刀痕
(
とうこん
)
とに
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
閃
(
せん
)
した左膳の隻腕、乾雲土砂を巻いて栄三郎の足を! と見えたが、ガッシ! とはねた武蔵太郎の
剣尾
(
けんび
)
に青白い火花が散り咲いて、左膳の頬の
刀痕
(
とうこん
)
がやみに浮き出た……と思うまに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その耳の裏にも黒い
刀痕
(
とうこん
)
があり、左の手の甲にも刀傷がある。なお肌着を脱いだら幾つでも同様な刀傷が出て来そうな——見るからに近寄りがたい猛気をその顔はそなえていた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
刀痕
(
とうこん
)
鮮かな左膳の顔が笑いにゆがみ、隻眼が光る。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
けれどその印章の
刀痕
(
とうこん
)
についてみれば、決して巧みなものではない。篆書の字劃も彫りも、何様、
素人彫
(
しろうとぼり
)
の手すさびらしい稚拙が
見遁
(
みのが
)
せない。そして材はほとんどが木印である。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傷口は長いが、
刀痕
(
とうこん
)
はふかくない、ただ血しおは一時おそろしく全身をよごした。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右びたいから眼の下の頬へかけての
刀痕
(
とうこん
)
だった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男の死骸には、
刀痕
(
とうこん
)
はなかった。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“刀痕”の意味
《名詞》
刀によってできた傷の瘢痕。
(出典:Wiktionary)
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
痕
常用漢字
中学
部首:⽧
11画
“刀”で始まる語句
刀
刀自
刀架
刀身
刀鍛冶
刀槍
刀剣
刀子
刀尖
刀柄