むだ)” の例文
乘り入れて二進につち三進さつちもいかなくなるか自腹の痛事あるべきなりオヽこはやと悟る人は誠にい子といふべきなりなどと横道のむだは措きこゝ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
「手数をかけて金をかけて、時間をかけてむだなものを作る! それが『進んだ』ということなら、今の浮世は進んでいるよ」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その年の春、智子は女学校の高等科を卒業して、結婚を急ぐ程でもなし、遊んでいるのもむだだったので、小遣い取りに街の或る商事会社へ勤めた。
或る母の話 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
帰りに水戸様めえの砂利の中へへいるもんだから草鞋もたちまちぶっ切れて、日に二足位はって誠にむだだアから、わし思うに
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だが、この渡世を知って夫婦になったんでござんしょうからむだなお追従ついしょうは抜きにしておきます。ご免なすっておくんなさいまし。(入口から出て行く)
沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
チエホフの作にでもありさうな気がした、むだがなく、それでゐてそれを貫いた線が変化に富み、読み終つてからも、ひろい人生の背景を人に思はせるやうなところがあつた。
月明夜々 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
多「見捨みすてると云う事はねえが、まアだ気に入らねえ事がある、おめえの着物はみんなあんなに袖が長いが、の袖があれば子供の着物が一つ出来る、むだじゃアねえか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「切られたというのは変ではないか、お前が縁を切ったんだろう。むだなことをしたものだ」
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はかんと思ひ込みしにむだと仕たり瞬間に本山もとやまに着けど馬に水もかはず只走りに走る梅澤櫻澤などいふ絶景の地に清く廣やかの宿屋三四軒ありこゝに一宿せざることのしさよ山吹躑躅つゝぢ今を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
とこれから多助が参りますのでございますが、中々むだには歩きません、炭荷を担いで、「計り炭は宜しゅう、計り炭は宜しゅう」と商いをして儲けながらまいります。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
渡り終らんとする末の一足うしろを向いてむだを云ながら左を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
むだをはぶいてすいばかりを残す」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それ御覧ごろうじませ、此のお方におうらみはないのに御迷惑をかけて済まないではありませんか、萩原様はお心変りが遊ばしたのだから、貴方あなたがおしたいなさるのはおむだでございます
むだをいわずと早くおいでな」
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
つまりはむだの食い物なのさ
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)