其眼そのめ)” の例文
さうして其眼そのめにはあたゝか健全けんぜんかゞやきがある、かれはニキタをのぞくのほかは、たれたいしても親切しんせつで、同情どうじやうつて、謙遜けんそんであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其眼そのめが血ばしつてゐる。二三日ねむらない所為せゐだと云ふ。三千代は仰山なものゝ云ひかただと云つて笑つた。代助は気の毒にも思つたが、又安心もした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まがかたなく其處そこには、普通あたりまへはなよりも獅子しゝぱな酷似そつくりの、ひどくそッくりかへつたはながありました、また其眼そのめ赤子あかごにしては非常ひじようちひさすぎました、まつたあいちやんは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「さう、難有ありがとう」と美禰子も笑つて、男の顔を見返したが、其眼そのめをすぐ三四郎の方へ向けた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたくし?」と云つた時、女はかほを半分程三四郎の方へけた。さうして二重瞼ふたへまぶたの切れ目から男を見た。其眼そのめにはかさかゝつてゐる様に思はれた。何時いつになく感じが生温なまぬるた。ほゝいろも少しあをい。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)