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兩岸
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りやうがん
むかしは
兩岸に
巨木を
立て、
之に
藤の
綱十條を
曳き、
綱に
板を
渡したと
言ふ、
著しき
由緒があつて、いまも
古制に
習つた、
鐵の
釣橋だと
言ふ……おまけに
歌まである。
月の
世界と
成れば、
野に、
畑に、
山懷に、
峰の
裾に、
遙に
炭を
燒く、それは
雲に
紛ふ、はた
遠く
筑摩川を
挾んだ、
兩岸に、すら/\と
立昇るそれ
等の
煙は、
滿山の
冷き
虹の
錦の
裏に