側杖そばづえ)” の例文
彼らは側杖そばづえを食うようなことをしたくなかった。彼らはクリストフの人物を知っていた。彼の能力や彼の短気なことを知っていた。
双方ともに死傷十数名という激しいものだったが、その外に、運わるく側杖そばづえをくって斬り倒された「モニカの千太郎」という街の不良少年があった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
私たちはよく別な事件のために側杖そばづえを食った。が、彼奴等はえてそんな事件を口実にして、「赤狩り」をやったのだ。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「あの晩かくまっていただかなかったら、斬合いの側杖そばづえから、あたしア殺されていたかもしれないんだものね」
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「わしから離れろ。——でないと側杖そばづえを食う、お前が怪我をする理由はちっともない」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太郎はこの側杖そばづえをくうと、持ち前のように口をとがらしたぎり、物も言わないで引き下がってしまった。そういう場合に、私のところへ来て太郎を弁護するのは、いつでも婆やだった。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
繃帯ほうたいして右手めてくびから釣って、左の手で不精鎌ぶしょうがまを持って麦畑の草など親分が掻いて居るのを見たのは二月もあとの事だった。喧嘩の仲入なかいりに駈けつけた隣の婆さんは、側杖そばづえって右の手を痛めた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
下足札げそくふだそろへてがらんがらんのおともいそがしや夕暮ゆふぐれより羽織はおりひきかけて立出たちいづれば、うしろに切火きりびうちかくる女房にようぼうかほもこれが見納みおさめか十にんぎりの側杖そばづえ無理情死むりしんぢうのしそこね、うらみはかゝるのはてあやふく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
下足札そろへてがらんがらんの音もいそがしや夕暮より羽織引かけて立出たちいづれば、うしろに切火きりび打かくる女房の顔もこれが見納めか十人ぎりの側杖そばづえ無理情死しんぢうのしそこね、恨みはかかる身のはて危ふく
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私は昨日の側杖そばづえを食ったことを話した。そして
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)