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へいどん
ふりがな文庫
“
併呑
(
へいどん
)” の例文
彼の身を、
質子
(
ちし
)
として、今川家に
軟擒
(
なんきん
)
しておくことは、政略であって、慈悲ではない。三河
併呑
(
へいどん
)
の策謀ではあるが、同情や善意ではない。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信仰のうちに
併呑
(
へいどん
)
された土地、鼓動してる
山嶽
(
さんがく
)
、歓喜してる空、人間の
獅子
(
しし
)
、それらにたいする賛歌を彼は飲み込んだ。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ここにおいて兵を出して諸国を
併呑
(
へいどん
)
せんとし、欧羅巴洲大いに乱る。文化十二年諸国相
謀
(
はか
)
りてポナパルテを
擒
(
とりこ
)
にして
流竄
(
りゅうざん
)
し、連年の兵乱を治平せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
斯うなるともう一切の感情を好奇心が
併呑
(
へいどん
)
してしまって、しわぶき一つする人も無くなります。
新奇談クラブ:02 第二夜 匂う踊り子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それゆえ、今後ある機会に遇えばおそらくいずれかに
併呑
(
へいどん
)
せられるをまぬがれぬであろう。
人類の生存競争
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
▼ もっと見る
日本帝国主義は、国内においては、農村の半封建的搾取、労働者の殖民地的搾取、国外においては、暴力的・軍事的に隣接民族を
併呑
(
へいどん
)
、侵略、殖民地化して、成長してきたのである。
労働者農民の国家とブルジョア地主の国家:ソヴェト同盟の国家体制と日本の国家体制
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
逍遙子が沒却理想、若し眞能立ならば、その理想の大なること、豈ハルトマンが比ならむや、ハルトマンが系統の如きものは、所謂衆小理想の一つとして、逍遙子が大理想に
併呑
(
へいどん
)
せらるべきのみ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
なんでこんな
巨
(
おお
)
きな
城
(
しろ
)
が
寝所
(
ねどこ
)
なもんか、これはやがて、四
国
(
こく
)
九
州
(
しゅう
)
はおろか、
東海道
(
とうかいどう
)
浜松
(
はままつ
)
も
小田原
(
おだわら
)
も、
一呑
(
ひとの
)
みに
併呑
(
へいどん
)
しようとする
支度
(
したく
)
じゃないか
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勝って敵国を
併呑
(
へいどん
)
するのも平和のため、他国の勝ちえた物を強いて捨てさせるのも平和のため、捨てさせておいてたちまちこれを拾いとるのも平和のため、なんでもかんでも平和のためと称して
戦争と平和
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
また以て封建社会が富のために
併呑
(
へいどん
)
せられつつあるを察するに足らん。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
信長が美濃を望むのは、義元が尾張の攻略を必要としたように、そこが
中原
(
ちゅうげん
)
へ進出する段階だからである。単に一美濃の
併呑
(
へいどん
)
が、目的ではない。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし、将門に、もうすこし、人のわるさがあるならば、この機会に乗じて、武蔵一国を
併呑
(
へいどん
)
してしまうのは何でもない。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呉
(
ご
)
と
越
(
えつ
)
と、二つの雄藩が、かなたの国では、両々
覇
(
は
)
を争ッて、
併呑
(
へいどん
)
をうかがい合い、
倶
(
トモ
)
ニ天ヲ
戴
(
イタダ
)
カズ、とまで争っていた。呉人越人、同邦ながらたがいに憎しみあっていた。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「曹操の野望は大きい。彼は近く冀州全土を
併呑
(
へいどん
)
せんという大行動を起すにちがいない」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どう致しまして——。とんでもない。呉が
荊州
(
けいしゅう
)
を
併呑
(
へいどん
)
せんと望んでいたことは実に久しいものです。いま、南郡はすでに、呉の
掌
(
たなごころ
)
にあるものを、決して、ご心配下さるに及ばん」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なるほど、秀吉とやらは、信長の
卒伍
(
そつご
)
から身を起して、いま
播磨
(
はりま
)
一円を領し、やがては山陰山陽の二十余ヵ国をも
併呑
(
へいどん
)
せんとするかの如き概ある者、おそらく
凡人
(
ぼんじん
)
ではありますまい。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
織田信秀
(
おだのぶひで
)
や、三河の松平や、駿府の今川家などの、
勃興勢力
(
ぼっこうせいりょく
)
のなかに挟まれて、ぽつねんと、島のような存在でありながら、そのどれからも
併呑
(
へいどん
)
をまぬがれて、蜂須賀党が蜂須賀党として
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天下
併呑
(
へいどん
)
の競望と
素地
(
そじ
)
とを、秀吉に与えてしまったものだ、と説いている。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これを
併呑
(
へいどん
)
してしまおうと侵略の機をうかがっているのだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一挙、武力の
併呑
(
へいどん
)
があるばかりである。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“併呑”の意味
《名詞》
併呑(へいどん)
何かを併せ呑むこと。一つに併せ従わせること。勢力下に収めること。併合。
(出典:Wiktionary)
併
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
呑
漢検準1級
部首:⼝
7画
“併呑”で始まる語句
併呑自若