久世くぜ)” の例文
……見違えるように元気になったボクさんと、一分の間もボクさんから眼を離さないように、うっとりとその顔ばかり眺めている久世くぜ氏。
久世くぜ侯(大和守広之ひろゆき)がお相客になります」と関主税が注意した、「しかし、べっして辞儀には及びませんから、どうかそのおつもりで」
少しは調べたいもの、見たい所もあって、五六日は随分歩くつもりで、足慣らしもして来たのであるが、これでは愛宕あたご乙訓おとくに久世くぜ綴喜つづきと遠っ走りは出来そうにない。
雨の宿 (新字新仮名) / 岩本素白(著)
五万八千石久世くぜ大和守。——常州関宿の城主である。喜連川きつれがわの城主喜連川左馬頭——不思議のことにはこの人は無高だ。六万石小笠原佐渡守。二万石鍋島熊次郎。二万千百石松平左衛門尉。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
老中間部まなべ越前守殿同井上ゐのうへ河内守殿同久世くぜ大和守殿同大久保おほくぼ長門守殿若年寄わかどしより石川近江守殿同黒田豐前守殿同土岐とき丹後守殿なり右の人々ひと/″\立會たちあひ嘉川家一件種々いろ/\評議是ある所土岐丹後守殿進み出られ今度の一條主税之助儀先一おうよろしからぬやうに聞ゆれども又逐電ちくでんせし用人共も合點がてんゆかざる儀なり金子きんす盜取ぬすみとり候罪を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
槇子まきこ麻耶子まやこあずささんをはじめ五人のやんちゃなお嬢さんたち。秋作氏。久世くぜ氏。保羅ぽうるさんに礼奴れいぬさん。四人の科学者たち。それから、まだ続々。
久世くぜ(大和守)侯から召されまして、蜂谷はちや六左衛門と長沼善兵衛がまいりましたところ、これまでの取次衆は。
老中がたは酒井(雅楽うた)侯、稲葉(美濃みの)侯、阿部(豊後ぶんご)侯。またお側衆そばしゅう久世くぜ大和やまと)侯であった。
音楽などで、じぶんの頭をうっとりさせる必要のない久世くぜ氏が、お友達に誘われて偶然利江子さんの独奏会レシタルへゆき、いっぺんで利江子さんを好きになってしまったのです。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
幕府閣僚の一部(はっきりわからないが、その主動的な人物は、若年寄の久世くぜ大和守という人らしい)
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
沼間ぬま夫人と森川夫人と従妹いとこ麻耶子まやこは、今夜の接待係りなので壁煖炉シュミネのところにいるボクさんや久世くぜ氏、ご母堂と話をしている苗木売りのお爺さん、丹沢山たんざわやまの、あの四人の科学者たちに
久世くぜ(大和守広之)侯だ」と周防は甲斐の眼を見つめながら云った、「小石川の普請小屋へ、久世侯から密使が来て私が呼ばれ、侯自身からしかじかと聞かされたのだ」
「周防どのにあらましのことを聞きました」と主膳は云った、「久世くぜ侯の話しも聞きました、周防どのは、これで伊達家も壊滅かと、覚悟をきめたと申しておられました」
久世くぜ大和守が甲斐を見た。兵部は雅楽頭を見た。雅楽頭は「なに」と云った。
「五日まえのことです」と周防が云った、「久世くぜ侯、御存じでしょうか、将軍家側衆そばしゅうのひとりで、大和守広之やまとのかみひろゆきと申され、綱宗さま御家督のときから、いろいろ便宜をはからって下さるのですが」