不死身ふじみ)” の例文
ちょうど月輪の連中が途上に休んでいるころおい、不死身ふじみの泰軒は、燃え狂ういわし屋の屋内を火の粉の一つのように駈けまわって
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「べらぼうめ! 下手に出りゃつけ上がりゃがって、下総十五郎を知らねえか! 不死身ふじみの肌だッ。度胸をすえてかかって来やがれッ」
しかしいくら不死身ふじみの痣蟹でも、そんな高空に吹きとばされてしまったのでは、とても無事に生還することは覚束おぼつかなかろうと思われた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「は、は、は、は。うんのわるい弱虫の忍剣め、つぎの世には拙僧せっそうのような不死身ふじみを持って生まれかわってこい。かつ! 南無阿弥陀仏なむあみだぶつッ——」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
段々だんだんえりのかかった筒袖を一枚素肌すはだに着たばかりで、不死身ふじみであるべく思わるる米友はまた、寒さの感覚にも欠けているべく見受けられます。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
受けて、三日とは生きて居られませんよ。即死するでしょうね。おどろいた頑強さです。不死身ふじみという感じを受けました
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
これは強い人で、力が廿人力あって、不死身ふじみで無鉄砲で。其の頃は腕力家の多い世の中でございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かつかれは清国の間牒かんちょうであるという疑いも生じて来たので、いっそ彼を殺してしまおうと思ったが、前にもいう通り、彼は武芸に達している上に、一種の不死身ふじみのような妖僧であるので
ジイグフリイドほどの不死身ふじみの大勇者でも、その肩先に一箇所の弱點を持つてゐたではないか。辨慶にも泣きどころがあつたといふし、とにかく、完璧の絶對の強者は、どうも物語には向かない。
お伽草紙 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
そこには、人面馬体をそなえてオリンポスの山を乗り越えた、不死身ふじみの壮大なる恐るべきタイタン族、サントール、いにしえのイパントロープ、すなわち神にして獣なるあの怪物のことが、語られている。
ルーズベルトのお願いしたいと申す新兵器は絶対に弱味のない不死身ふじみの手のつけられないハリケーンの如き凄い奴を、どうぞ御提供願いまする
殺すことができないのだ。なぜかといえば、俺は不死身ふじみだからな。奴らの刃をみ折り、奴らの陣所を蹴破って帰るぐらいな芸当は朝飯前のことだ
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天下に、切っても切れない不死身ふじみ洒落しゃれてもこすってもわからない朴念仁ぼくねんじん、くすぐっても笑わない唐変木とうへんぼく、これらのやからの始末に困るのは、西郷隆盛ばかりではないらしい。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ジイグフリイドほどの不死身ふじみの大勇者でも、その肩先に一箇所の弱点を持つてゐたではないか。弁慶にも泣きどころがあつたといふし、とにかく、完璧の絶対の強者は、どうも物語には向かない。
お伽草紙 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
実に古代の不死身ふじみにも等しいものを持っているということを。
と呂宋兵衛は立ちなおって、剣を、鼻ばしらの前へまッすぐ持ち、あたかも、不死身ふじみいんをむすんでいるような形。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とバネじかけのように椅子から飛び上ったのは大江山おおえやま捜査課長だった。それほど驚いたのも無理ではなかった。岩というのは、不死身ふじみといわれるおそろしい強盗紳士だ。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ことに水練に達して久しく水底みずそこに沈み、水の中を行くこと魚の如くであったと言われている。加うるに身体は不死身ふじみであって、一切の刀剣も刃が立たないということでありました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
頭にかけられたら、一分一秒でも、生きていられるわけがないじゃないか。それだのに、博士はにやにや笑っている。ほんとうの博士なら、どんなに不死身ふじみだって……
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まだ兵火の余燼よじんが立ち昇っている淀堤よどづつみの上へその影をあらわすと、当然、官軍の哨兵しょうへいが彼の前に立ったが、そのたびに、槍の血を新しくしては不死身ふじみのように駈けつづけているのである。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
忍苦、辛抱といったようなことでは、どうやら不死身ふじみになったようである。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不死身ふじみ
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「わはははは、おのれや伊那丸ずれの女子供に、この呂宋兵衛が自由になってたまるものか。斬るも突くも不死身ふじみのおれだ。五尺とそばへ近よって見ろ、汝の黒髪は火となって焼きただれるぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おし不死身ふじみ
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)