下帯したおび)” の例文
旧字:下帶
陣羽織もえ、下帯したおびまで新たにして行った。戦場の使いであるだけに、血ぐさい身装みなりや血汐のあとなどは、殊更に注意して避けるのだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「歩く拍子ひょうしもみのはつちと浅黄縮緬あさぎちりめん下帯したおびがひらりひらりと見え」とか「肌の雪と白き浴衣ゆかたの間にちらつく緋縮緬の湯もじを蹴出けだすうつくしさ」
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
最前さいぜん預かり証書は饂飩粉うどんこの中へ隠しましたゆえ平気になり、衣物きものをぼん/\取ってふるい、下帯したおび一つになって。
幹太郎は首をかしげたが、「汗をながして来る」と云い、下帯したおびひとつのまま手拭を持って裏へ出ていった。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
男は色が青黒く、たいていは肥えている。全身裸であって下帯したおびすらもないが、毛が深いので男女のしるしは見えぬ。ただし女は時に姿を見せるのみで出て働こうとはしない。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ナニ心配する事はない、コレ井上ゐのうへ此所これい、ついで其方そのはうつかはすから。井上「有難ありがたうはぞんじますが、何分なにぶん裸体はだかになりますのをはゞかりますで、生憎あいにく今日けふ下帯したおびめてまゐりませぬから。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)