三組みつぐみ)” の例文
朱塗の蒔絵まきえ三組みつぐみは、浪に夕日の影を重ねて、蓬莱ほうらいの島の松の葉越に、いかにせし、鶴は狩衣の袖をすくめて、その盞を取ろうとせぬ。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きょうは廂髪ひさしがみの末を、三組みつぐみのお下げにしている。長い、たっぷりある髪を編まれるだけ編んで、その尖の処に例のクリイム色のリボンを掛けている。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と云うので毎日昼頃になると、お村が三組みつぐみ葢物ふたものに色々な物を入れて持って参ります。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、いきなり卓子テエブルの上の風呂敷包みを解くと、中が古風にも竹の子弁当。……御存じはございますまい、三組みつぐみ食籠わりごで、畳むと入子いれこかさなるやつでね。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何か三組みつぐみの葢物へおいしいものを入れて
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こゝに一夜いちやあけのはる女中頭ぢよちうがしらのおぬひ?さん(ねえさんのいまつまびらかならず、大方おほかたうだらうとおもふ。)朱塗しゆぬり金蒔繪きんまきゑ三組みつぐみさかづきかざりつきの銚子てうしへ、喰摘くひつみぜん八分はちぶさゝげてきたる。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)