一列ひとつら)” の例文
我等かくふちを傳ひ一列ひとつらとなりて歩める間に、善き師しば/\いふ。心せよ、わが誡めを空しうするなかれ。 一—三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
こんな年していうことの、世帯じみたも暮向くらしむき、塩焼く煙も一列ひとつらに、おなじかすみ藁屋わらや同士と、女房は打微笑うちほほえ
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黒焦に削れたるみきのみ短く残れる一列ひとつらの立木のかたはらに、つちくれうづたかく盛りたるは土蔵の名残なごりと踏み行けば、灰燼の熱気はいまだ冷めずして、ほのかおもてつ。貫一は前杖まへづゑいて悵然ちようぜんとしてたたずめり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
活動寫眞で見る舞踏ダンス歩調あしどりの樣に追ひ越されたり、追越したり、段々近づいて來て、今にも我が身を洗ふかと思へば、牛の背に似た碧の小山のいただきが、ツイと一列ひとつらの皺を作つて、眞白の雪の舌が出る。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
木の枝に雀一列ひとつらならびゐてひとつびとつにものいふあはれ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
覚めやらで水を眺むる柳の一列ひとつらあり。
無題 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
活動写真で見る舞踏ダンス歩調あしどりの様に追ひ越されたり、追越したり、段々近づいて来て、今にも我が身を洗ふかと思へば、牛の背に似たみどりの小山の頂が、ツイと一列ひとつらの皺を作ツて、真白の雪の舌が出る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一列ひとつらに手錠はめられ十二人涙ながせば鳩ぽつぽ飛ぶ
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
飛の魚つれ一列ひとつら挿櫛さしぐし月形つきがたなせば君の恋しき
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夕暮ゆふぐれものもなき修道女しうだうめの長き一列ひとつら
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
驀然ましぐらに急ぎくる一列ひとつら郵便馬車いうびんばしや
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
けぶりほばしらの闇に一列ひとつら
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一列ひとつらあかはな罌粟けし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)