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ろくちやうめ
六丁目を
乘出した
其の
自動車で、
自分兩國を
乘切らう
意氣込、が、
思ひがけないパンクで、
時も
過ぎれば、
氣が
拔けたのださうである。
……
其處で、
道順だから、やすい
圓タクでお
誘ひ
申さうかと、もし、もし、
電話(
註。お
隣のを
借りる)を
掛けると
六丁目里見氏宅で、はあ、とうけて、
婀娜な
返事が——
幹事で
支度がありますから
鐵の
棒の
杖をガンといつて、
尻まくりの
逞しい
一分刈の
凸頭が「
麹町六丁目が
燒とるで!
今ぱつと
火を
吹いた
處だ、うむ。」と
炎天に、
赤黒い、
油ぎつた
顏をして、
目をきよろりと、
肩をゆがめて