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よつでば
日が
暮れて
此処を
通りかゝると、
今、
私が
御身に
申したやうに、
沼の
水は
深いぞ、と
気を
注けたものがある。
此の
四手場に
片膝で、
暗の
水を
視詰めて
居た
老人ぞや。
それ/\、
其の
坊様なら、
宵の
口に
私が
頼んで
四手場に
居て
貰ふたのぢや……、はあ、
其処へお
前様が
行逢はしつたの。はて、どうも、
妙智力、
旦那様と
私は
縁が
有るだね。
つひ
一晩も
欠かさねえで、
四手場も
此の
爺も、
岸に
居着きの
巌のやうだ——
扨気が
着けばひよんな
事、
沼の
主に
魅入られた、
何か
前世の
約束で、
城ヶ
沼の
番人に
成つたゞかな。