“やに”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤニ
語句割合
75.9%
樹脂13.8%
煙脂4.3%
烟脂1.7%
木脂0.9%
木詣0.9%
松脂0.9%
樹肥0.9%
脆弱0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ええ、おこついているな。やにめさせられた蛇のように往生際が悪いと、もうお慈悲をかけちゃあいられねえ。さあ。申立てろ。
半七雑感 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
材料に樹脂やにをひいた綱を用ひ、木油も少しはまぜるので、地球全體におそろしく惡臭が漂ひ、鼻の孔に栓をする必要が起る。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
杢助は信じかねるように、きせるを投げ、紙を取って、口の中に煙脂やにが溜まったらしい、べろっと舌を出して拭いて、それから唾を吐いた。飯篠老人は断言した。
似而非物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それをいて、烟脂やにめたかえるはらわたをさらけだして洗うように洗い立てをして見たくもない。今私がこの鉢に水を掛けるように、物に手を出せば弥次馬と云う。手を引き込めておれば、独善と云う。
サフラン (新字新仮名) / 森鴎外(著)
本邦ほんほうに於ては未だかる發見物無しと雖も石鏃の根底部こんていぶ或は把柄ひしやく木脂やにを付けたる痕を留むる物往々有りて能くやがらを固着せし状を示せり。矢有れは弓有り、弓有ればげん有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
石槍をに固着する爲には木詣やにの類と植物の皮又は獸類じゆうるいの皮を細くしたるものを併せ用ゐしなるべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
荒砥あらとのような急湍きゅうたんも透徹して、水底の石は眼玉のようなのもあり、松脂やにかたまったのも沈み、琺瑯ほうろう質に光るのもある、蝶は、水を見ないで石のみを見た、石を見ないで黄羽の美しい我影を見た
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
朽葉のつもった柔い土の香と軽い樹肥やにの香とが苛立った神経を落付おちつけて呉れる。緩やかなうねりが二度三度続いた。尾根が痩せて岩が露れると、石楠や躑躅つつじの類がはびこり出して足にからまる。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
草人は心臓がけさうな声をして叫んだ。だが感謝せよ、草人の心の臓はそんな事でける程脆弱やにつこくは出来てゐなかつた。