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ねづみいろ
其時小犬ほどな
鼠色の
小坊主が、ちよこ/\とやつて
来て、
啊呀と
思ふと、
崖から
横に
宙をひよいと、
背後から
婦人の
背中へぴつたり。
橋板がまた、がツたりがツたりいつて、
次第に
近づいて
来る、
鼠色の
洋服で、
釦をはづして、
胸を
開けて、けば/\しう
襟飾を
出した、でつぷり
紳士で、
胸が
小さくツて
が、
疼々しい
此の
硬ばつた、
雨と
埃と
日光をしたゝかに
吸つた、
功羅生へた
鼠色の
大な
蝙蝠。
夕方になつて、ひよろ
長い
影がさして、
薄暗い
鼠色の
立姿にでもなると、ます/\
占治茸で、づゝと
遠い/\
処まで
一ならびに、十人も三十人も、
小さいのだの、
大きいのだの、
短いのだの