-
トップ
>
-
ちやくざ
此時宗助と
並んで
嚴肅に
控えてゐた
男のうちで、
小倉の
袴を
着けた
一人が、
矢張無言の
儘立ち
上がつて、
室の
隅の
廊下口の
眞正面へ
來て
着座した。
設けたり引れて
此處へ
着座すれば左右には常樂院
天忠山内赤川藤井等の面々
威儀を
正して座を
占たり
卷上れば
二疊臺に
雲間縁の
疊の上に天一坊
威儀を
正して
着座なし大膳が名前を披露に及べば天一坊は
言葉少なに
孰も神妙と
計り大樣の
一聲に皆々
低頭平身誰一人
面を上て顏を
驚かすばかりなり扨主税之助は
入側右の方に
着座なし引續きて附添の
小普請組頭末座に親類石原文右衞門山内三右衞門
縁側には
家來安間平左衞門罷出其
有樣最憎々しき面魂ひにて一
癖有べき者と言ねど面に
顯れつゝ吟味を