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こゑ/″\
鮨、お
辨當、
鯛めしの
聲々勇ましく、
名古屋にて
夜は
全く
明けて、
室内も
聊か
寛ぎ、
暖かに
窓輝く。
叩立しかば一村二百軒の百姓
夫やこそ名主殿へ盜賊が
這入たぞ
駈付て
打殺せと
銘々得物々々を
携へて其處へ來りヤア盜人は面を
墨にて
塗たるぞ
洗ひて見よと
聲々に
罵り盜人の面を
と
高く
低く、
声々に
大沼のひた/\と
鳴るのが
交つて、
暗夜を
刻んで
響いたが、
雲から
下りたか、
水から
湧いたか、
沼の
真中あたりへ
薄い
煙が
朦朧と
靡いて
立つ……