-
トップ
>
-
げんくわんばん
旦那が
役所へ
通ふ
靴の
尖は
輝いて
居るけれども、
細君の
他所行の
穿物は、むさくるしいほど
泥塗れであるが、
惟ふに
玄關番の
學僕が、
悲憤慷慨の
士で、
女の
足につけるものを
打棄つて
置くのであらう。
玄関番の
書生に
不作法な
取扱を
受けると、
其処の
主人迄がいやになる。
著米早々の
此の
始末は、
少からず
僕等に
不快を
与へた。(四月三日)
聞けば
聖書を
糧にする
道徳家が二十五銭の
指環を
奮発しての「ヱンゲージメント」、
綾羅錦繍の
姫様が
玄関番の
筆助君にやいの/\を
極め
込んだ
果の「ヱロープメント」