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かいたふ
宗助は
此間の
公案に
對して、
自分丈の
解答は
準備してゐた。けれども、それは
甚だ
覺束ない
薄手のものに
過ぎなかつた。
彼は
此心細い
解答で、
僥倖にも
難關を
通過して
見たい
抔とは、
夢にも
思ひ
設けなかつた。
老師を
胡麻化す
氣は
無論なかつた。
其時の
宗助はもう
少し
眞面目であつたのである。
どんな
解答にしろ
一つ
拵らへて
置かなければならないと
思ひながらも、
仕舞には
根氣が
盡きて、
早く
宜道が
夕食の
報知に
本堂を
通り
拔けて
來て
呉れゝば
好いと、
夫ばかり
氣に
掛かつた。