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おほうみ
足下の
同情は
多過ぎる
予の
悲痛に、
只悲痛を
添へるばかり。
戀は
溜息の
蒸氣に
立つ
濃い
煙、
激しては
眼の
裡に
火花を
散らし、
窮しては
涙の
雨を
以て
大海の
水量をも
増す。
最早亞弗利加大陸を
横斷して、ずつと
西の
方に
吹き
飛ばされて、
今、
下邊に
見ゆる
大海は、
大西洋に
相違はあるまい。と
言つたが、
私はどうも
左樣とは
信じられなかつた。
大洋をわれ渡らむにこの神を
斎ひてゆかな妻もろともに
海かぜも日もまともなる丘の上に
大洋に向く神のみやしろ