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猶
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な
ふりがな文庫
“
猶
(
な
)” の例文
そうして、その岩の配置に、背景の削ぎ立った懸崖に連峯に、人を威圧しながらも、
猶
(
な
)
お言い知れぬ風致と雅趣に微笑んでいたのだ。
登山は冒険なり
(新字新仮名)
/
河東碧梧桐
(著)
又、成熟した彼女の、目や
脣
(
くちびる
)
や全身の
醸
(
かも
)
し出す魅力を、思い出すまいとしても思い出した。明かに、彼は
猶
(
な
)
お木下芙蓉を恋していた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
語るに足らない人間に、期待をもって、今日まで引きずられて来た愚かさを、思い出すのもいや、口に出すのは、
猶
(
な
)
お
忌々
(
いまいま
)
しかった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其証拠とも云う
可
(
べ
)
きは寝床の用意既に整い、寝巻及び肌着ともに寝台の
傍
(
わき
)
に
出
(
いだ
)
しあり
猶
(
な
)
お
枕頭
(
まくらもと
)
なる
小卓
(
ていぶる
)
の上には
寝際
(
ねぎわ
)
に
飲
(
のま
)
ん為なるべく
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
『まァ、
大層
(
たいそう
)
悦
(
よろこ
)
んでること』
愛
(
あい
)
ちやんは
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
つて
猶
(
な
)
ほも
言
(
い
)
ひ
續
(
つゞ
)
けました。『
教
(
をし
)
へて
頂戴
(
てうだい
)
な、ね、
私
(
わたし
)
は
此處
(
こゝ
)
から
何方
(
どつち
)
へ
行
(
い
)
けば
可
(
い
)
いの?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
又罪過は戯曲のみにあるべきものにして決して小説にあるべからずと言ふ者あらば、吾人は別論として
猶
(
な
)
ほ其
誤謬
(
ごびう
)
を
駁
(
ばく
)
せんと欲するなり。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
大船
(
おほふな
)
を
發
(
はつ
)
して
了
(
しま
)
へば
最早
(
もう
)
國府津
(
こふづ
)
へ
着
(
つ
)
くのを
待
(
ま
)
つ
外
(
ほか
)
、
途中
(
とちゆう
)
何
(
なに
)
も
得
(
う
)
ることは
出來
(
でき
)
ないと
思
(
おも
)
ふと、
淺間
(
あさま
)
しい
事
(
こと
)
には
猶
(
な
)
ほ
殘念
(
ざんねん
)
で
堪
(
たま
)
らない。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
實
(
じつ
)
に
非常
(
ひじやう
)
の
手段
(
しゆだん
)
ではあるが、
※日
(
くわじつ
)
、
自動鐵車
(
じどうてつしや
)
が
砂
(
すな
)
すべりの
谷
(
たに
)
に
陷落
(
かんらく
)
した
時
(
とき
)
、
君等
(
きみら
)
を
救
(
すく
)
はんが
爲
(
ため
)
に
製作
(
せいさく
)
した
大輕氣球
(
だいけいきゝゆう
)
が、
今
(
いま
)
も
猶
(
な
)
ほ
殘
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
遣ひ居て下されよと出すを久八はおし返し
達
(
たつ
)
て
辭退
(
じたい
)
をなしけれども千太郎は
猶
(
な
)
ほ
種々
(
さま/″\
)
に言ひなし
漸々
(
やう/\
)
金子を
差置
(
さしおき
)
つゝ我が家へこそは歸りけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
扨
(
さて
)
又他の一つはそれとは異なった場合であって、前のは吾が魂を以て自然境を縫った場合であるが、それは
猶
(
な
)
お時間というものが存在している。
穂高岳
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それ、人類の力に限りあり、万象の学は
窮
(
きわ
)
まりなし、限りあるの力を以て窮まりなきの学を講ず、終始これに従事するも
猶
(
な
)
お
且
(
か
)
つ足らざるを覚ゆ。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
さうした不思議は
猶
(
な
)
ほこれに
留
(
とゞま
)
らなかつた。貧しき者は富み、乏しき者は得、病める者は
癒
(
い
)
え、弱き者は力を
恢復
(
くわいふく
)
した。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
一体
(
いったい
)
の
出来
(
でき
)
が面白い都会で、
巴里
(
パリー
)
に遊んでその
古
(
いにし
)
えを
忍
(
しの
)
ぶとき、今も
猶
(
な
)
お
悵恨
(
ちょうこん
)
の
腸
(
はらわた
)
を傷めずにはいられぬものあるが
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
一人の敵を学ぶの非なるは、万人の敵を学びても
猶
(
な
)
ほ失敗したる項羽すら、之を発見せり。万人の敵を学ぶは百万人の敵を学ぶに如かざればならむ。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
中原
(
ちゅうげん
)
、また鹿を
逐
(
お
)
うて、筆を投げすてて
戎軒
(
じゅうけん
)
を事とす。縦横の
計
(
はかりごと
)
は
就
(
な
)
らざれども、
慷慨
(
こうがい
)
の志は
猶
(
な
)
お存せり。
策
(
つえ
)
を
仗
(
つ
)
いて天子に
謁
(
えっ
)
し、馬を駆って関門を
出
(
い
)
ず。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
為
(
な
)
すべからざるにおいてすら
猶
(
な
)
おかつ為す、丈夫の本領
自
(
おのず
)
からかくの如し。名を正し分を明らかにし心
曾
(
すなわ
)
ち信あり、
夏
(
なつ
)
を尊び夷を攘うの義
豈
(
あ
)
に疑がわんや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
一面に於てその
御蔭
(
おかげ
)
を蒙っていることを否む訳にはいかない——から絶えず圧迫を受けながらも、
猶
(
な
)
お
能
(
あた
)
う限りの保護と愛惜とを加えて居るこの雪の宝殿が
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
而
(
しか
)
シテ
猶
(
な
)
ホ、コノ信神渡航者ノ一行ニハ、一人ノ貴族モナク、イハユル英雄モ豪傑モ、一人モ有ルコトナシ。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
是
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
て、
孫子
(
そんし
)
、
使
(
つかひ
)
をして
王
(
わう
)
に
報
(
はう
)
ぜしめて
曰
(
いは
)
く、『
兵
(
へい
)
既
(
すで
)
に
整齊
(
せいせい
)
す、
王
(
わう
)
試
(
こころ
)
みに
下
(
くだ
)
りて
之
(
これ
)
を
觀
(
み
)
る
可
(
べ
)
し。
唯
(
た
)
だ
王
(
わう
)
の
之
(
これ
)
を
用
(
もち
)
ひんと
欲
(
ほつ
)
する
所
(
ところ
)
、
水火
(
すゐくわ
)
に
赴
(
おもむ
)
くと
雖
(
いへど
)
も
猶
(
な
)
ほ
可也
(
かなり
)
』
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
期に
迨
(
およ
)
びて還さざらんか、彼は
忽
(
たちま
)
ち
爪牙
(
そうが
)
を
露
(
あらは
)
し、陰に告訴の意を示してこれを
脅
(
おびやか
)
し、散々に不当の利を
貪
(
むさぼ
)
りて、その肉尽き、骨枯るるの後、
猶
(
な
)
ほ
饜
(
あ
)
く無き慾は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
但
(
たゞ
)
し、
資本
(
しほん
)
は一
面
(
めん
)
に
於
(
お
)
いて
猶
(
な
)
ほ
大
(
おほ
)
いに
國家的
(
こくかてき
)
であるから
國際戰爭
(
こくさいせんさう
)
も
起
(
おこ
)
り、
從
(
したが
)
つて
又
(
また
)
、
國家的
(
こくかてき
)
社會主義者
(
しやくわいしゆぎしや
)
もあり、コスモポリタンに
成
(
な
)
り
得
(
え
)
ざる
心理
(
しんり
)
の
働
(
はたら
)
きがそこに
在
(
あ
)
る。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
蠅営狗苟
(
ようえいくこう
)
、
羊狠狼貪
(
ようこんろうたん
)
、
疾
(
はや
)
きこと
飄風
(
ひょうぷう
)
の如く、
烈
(
はげ
)
しきこと猛火の如し。
喬家
(
きょうか
)
の
子
(
こ
)
生きて
猶
(
な
)
お悟らず、死すとも何ぞ
恤
(
うれ
)
えん。
符氏
(
ふし
)
の
女
(
じょ
)
死して
猶
(
なお
)
貪婬
(
たんいん
)
なり、生ける時知るべし。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼
(
あ
)
れは三浦三崎の百姓を斬ると申すので、
私
(
わたくし
)
も仲へ這入って事柄を聞きますると、斬る程のことでもないゆえ、
猶
(
な
)
お色々と扱いますると、
終
(
しまい
)
には
私
(
わたくし
)
をも斬ると申すので
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
曾
(
かつ
)
て
寺内内閣
(
てらうちないかく
)
の
議會
(
ぎくわい
)
で、
藏原代議士
(
くらはらだいぎし
)
が
總理大臣
(
そうりだいじん
)
から「ゾーバラ
君
(
くん
)
」と
呼
(
よ
)
ばれて
承知
(
しやうち
)
せず、「これ
猶
(
な
)
ほ
寺内
(
てらうち
)
をジナイと
呼
(
よ
)
ぶが
如
(
ごと
)
し」と
抗辯
(
かうべん
)
して一
場
(
ぜう
)
の
紛議
(
ふんぎ
)
を
釀
(
かも
)
したことがあつた。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
漸
(
ようや
)
く退院したが、
猶
(
な
)
お歩行を禁ぜられ、其後、更に三週間を、とある湖畔に送って、九月二十五日に、
伊太利
(
イタリヤ
)
ミラノに出て、マルセーユヘ陸行し辻村は香取丸に便乗、近藤氏は
「続スウィス日記」発掘の始末:附「スウィス日記」の由来
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
銀杏返
(
いちょうがえし
)
もぐしや/\に、
掴
(
つか
)
んで
束
(
たば
)
ねた黒髪に、
琴柱形
(
ことじがた
)
して、
晃々
(
きらきら
)
と
猶
(
な
)
ほ月光に
照映
(
てりか
)
へる。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
文士ならば同業の人に対して、たとい無名氏にせよ、今少しの同情と尊敬があって然るべきだと思う。余は「土」の作者が病気だから、此場合には
猶
(
な
)
お
更
(
さ
)
らそう云いたいのである。
『土』に就て:長塚節著『土』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
呉れぬ物が
猶
(
な
)
ほ欲しくなるのは、殿様や子供の持つて生れた性分で、阿波の殿様は、望みとあらば何でも呉れてやらうから、
達
(
たつ
)
て「天然研」を譲つて貰ひたいと
執念
(
しふね
)
く持ちかけて来た。
硯と殿様
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
かゝりけれども
猶
(
な
)
ほ一
片
(
ぺん
)
誠忠
(
せいちう
)
の
心
(
こゝろ
)
は
雲
(
くも
)
ともならず
霞
(
かすみ
)
とも
消
(
き
)
えず、
流石
(
さすが
)
に
顧
(
かへ
)
りみるその
折々
(
をり/\
)
は、
慚愧
(
ざんぎ
)
の
汗
(
あせ
)
背
(
そびら
)
に
流
(
なが
)
れて
後悔
(
かうくわい
)
の
念
(
ねん
)
胸
(
むね
)
を
刺
(
さし
)
つゝ、
是
(
こ
)
は
魔神
(
ましん
)
にや
見入
(
みい
)
れられけん、
有
(
あ
)
るまじき
心
(
こゝろ
)
なり
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
猶
(
な
)
ほ
現
(
うつゝ
)
ならぬ
空事
(
そらごと
)
とのみ思ひきや、今や眼前かゝる悲しみに遇はんとは。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
本仕上げにして
猶
(
な
)
お肉がいいというのを本当に良しとした。そんな点で中出来のものは一見よく見えがちなものである。父は本当に仕上げてもいい彫刻でなければ駄目だということをよく言っていた。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
風前猶剰旧夭斜
風前
(
ふうぜん
)
に
猶
(
な
)
お
剰
(
あま
)
す
旧夭
(
きゅうよう
)
の
斜
(
なな
)
めなり〕
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
余は実に驚きたれど
猶
(
な
)
お合点の行かぬ所あり横鎗を入んため
将
(
まさ
)
に
唇頭
(
くちびる
)
を動さんとするに目科も余と同じ想いの如く余よりも先に口を開き
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
『
林檎
(
りんご
)
を
掘
(
ほ
)
つてるッて、
眞箇
(
ほんと
)
か!』と
兎
(
うさぎ
)
が
腹立
(
はらだゝ
)
しげに
云
(
い
)
ひました。『オイ、
來
(
き
)
て
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れ!』(
猶
(
な
)
ほ
硝子
(
ガラス
)
の
破
(
わ
)
れる
音
(
おと
)
がする)
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
眼中
(
がんちう
)
に
無念
(
むねん
)
の
涙
(
なみだ
)
を
浮
(
うか
)
べて、
今
(
いま
)
も
猶
(
な
)
ほ
多少
(
たせう
)
仇浪
(
あだなみ
)
の
立騷
(
たちさわ
)
いで
居
(
を
)
る
海面
(
かいめん
)
を
睨
(
にら
)
んで
居
(
を
)
る。
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
はいと/\
悲
(
かな
)
し
相
(
さう
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
現に盗んだところを見たのではなし又高が少しばかしの炭を
盗
(
と
)
られたからってそれを荒立てて
彼人者
(
あんなもの
)
だちに
怨恨
(
うらま
)
れたら
猶
(
な
)
お損になりますぞ。
真実
(
ほんと
)
に
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
苟
(
いやし
)
くもその緩と急とを
択
(
えら
)
ばず、その順序を失するあらば、一身の細事
猶
(
な
)
お且つ挙らず、況んや天下大事の一たる子弟教育の事に於てをや(謹聴々々)。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
故
(
まこと
)
に
此
(
この
)
二
子
(
し
)
は
皆
(
みな
)
聖人
(
せいじん
)
なるも、
猶
(
な
)
ほ
身
(
み
)
を
役
(
えき
)
して
世
(
よ
)
を
渉
(
わた
)
る
此
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
く
其
(
そ
)
れ
汙
(
ひく
)
きこと
無
(
な
)
き
能
(
あた
)
はず。
則
(
すなは
)
ち
(一〇〇)
能仕
(
のうし
)
の
設
(
は
)
づる
所
(
ところ
)
に
非
(
あら
)
ず。
宋
(
そう
)
に
富人
(
ふうじん
)
あり、
天
(
あめ
)
雨
(
ふ
)
りて
墻
(
かき
)
壞
(
やぶ
)
る。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
請ふ見よ、
羅馬
(
ローマ
)
死して羅馬の遺骨を幾千万載に伝へ、死して
猶
(
な
)
ほ死せざる詩祖ホーマーを。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
試みに鴎外漁史に問はん、漁史は結果のみを写して原因を写さざる戯曲を称して
猶
(
な
)
ほ良好なるものと
謂
(
い
)
ふ乎、原因に注目する者を称して猶ほ偏聴の誚を免れざるものとなす乎。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
傳「宇之さん、こういう山の中の女だから
猶
(
な
)
お目立ちやすが、
斯様
(
こん
)
なにくすぶって居るが、これを江戸へ持って往って磨いて見ねえ、どんな紙屑買が見倒しても奥様の
価値
(
ねうち
)
があるぜ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
呉れぬ物が
猶
(
な
)
ほ欲しくなるのは、殿様や子供の持つて生れた性分で、阿波の殿様は、望みとあらば何でも呉れてやらうから、
達
(
たつ
)
て「天然研」を譲つて貰ひたいと
執念
(
しふね
)
く持ちかけて来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして
盗魁
(
たうくわい
)
となつたのも、盗賊になつた方が京官になるよりも、有理であり、真面目な生活であると思つたところより、乱暴をはじめて、後に従五位下を以て招安されたにもかゝはらず、
猶
(
な
)
ほ伊予
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
それでも
猶
(
な
)
ほ魂に満されざる声を聞くのは何の故か。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
と
猶
(
な
)
ほ
亭主
(
ていしゆ
)
が
語
(
かた
)
つたのである。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
歸
(
かへ
)
らうとしましたが、
怒
(
いか
)
り
號
(
さけ
)
ぶ
女王樣
(
ぢよわうさま
)
のお
聲
(
こゑ
)
が
遠
(
とほ
)
くに
聞
(
きこ
)
えたので、
如何
(
どう
)
なることかと
猶
(
な
)
ほも
競技
(
ゲーム
)
を
見
(
み
)
てゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
猶
(
な
)
おも目科を小窓の所に誘い行きて小声にて何か話しを初め、判事は又書記に向い
是
(
これ
)
も何やらん差図を与え初めたり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
此
(
この
)
夜
(
よ
)
のピアノの
響
(
ひゞき
)
は、
今
(
いま
)
も
猶
(
な
)
ほ
私
(
わたくし
)
の
耳
(
みゝ
)
に
殘
(
のこ
)
つて、
※去
(
くわこ
)
の
出來事
(
できごと
)
の
中
(
うち
)
で
最
(
もつと
)
も
壯快
(
さうくわい
)
な
事
(
こと
)
の一つに
數
(
かぞ
)
へられて
居
(
を
)
るのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
暫時
(
しばらく
)
聴耳
(
ききみみ
)
を
聳
(
たて
)
て何を聞くともなく突立っていたのは、
猶
(
な
)
お八畳の間を見分する必要が有るかと疑がっていたので。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
夫
(
そ
)
れ
(二)
學
(
がく
)
は
載籍
(
さいせき
)
極
(
きは
)
めて
博
(
ひろ
)
けれども、
猶
(
な
)
ほ
信
(
しん
)
を
六蓺
(
りくげい
)
に
考
(
かんが
)
ふ。
(三)
詩書
(
ししよ
)
(四)
缺
(
か
)
けたりと
雖
(
いへど
)
も、
然
(
しか
)
れども
(五)
虞夏
(
ぐか
)
の
文
(
ぶん
)
知
(
し
)
る
可
(
べ
)
き
也
(
なり
)
。
堯
(
げう
)
將
(
まさ
)
に
位
(
くらゐ
)
を
(六)
遜
(
のが
)
れんとするや、
虞舜
(
ぐしゆん
)
に
讓
(
ゆづ
)
る。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
猶
常用漢字
中学
部首:⽝
12画
“猶”を含む語句
猶太人
猶予
猶太
猶豫
猶且
猶更
猶々
猶子
御猶予
猶與
今猶
御猶子
猶太殿堂
猶又
猶悲
執行猶予
猶大
猶太教
猶太語
猶近
...